親の離婚で子の名字は自動的に変わりますか?

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

Q:このたび、夫との離婚が決まりました。離婚後、私は旧姓に戻る予定です。
話合いの結果、私たちの間の一人娘は私が引き取ることになりました。
話合いでの離婚ですので、離婚届を出せば離婚は成立すると思いますが、子どもの名字も離婚届を出せば自動的に私の旧姓に変えることができるのでしょうか。

お子さんの名字を変えるには、家庭裁判所の許可が必要です。
母子のイメージイラスト
話合いでの離婚(協議離婚)は、夫と妻が離婚に合意し、離婚届を提出することで成立します。
離婚届には、離婚後の名字をどうするか記載する欄もありますので、離婚届の記載方法に従い、離婚後旧姓を名乗ることを記すことで、あなたの名字を旧姓に戻すための手続は完了します。

そして、離婚届には親権者を誰にするか記載する欄がありますので、妻が親権者となる場合は、「妻が親権を行う子」の欄にお子さんの氏名を記入します。

しかし、これはあくまで親権者を誰にするかを記載する欄にとどまりますので、この欄をチェックすることでお子さんの名字が変わることはありません。
お子さんの名字を新たに変更するためには、家庭裁判所の許可が必要となるのです。

 

そのために、まずあなたは、離婚届を出すと同時に、あなたを筆頭者とする新たな戸籍を作ります。この時点では、あなたの戸籍の中にお子さんはいません。
離婚届を提出してから10日前後が経つと、あなたを筆頭者として戸籍が完成し、取得が可能になります。

そこで、あなたは新しい戸籍の全部事項証明書を入手し、お子さんの現在の戸籍(元夫を筆頭者とする戸籍の全部事項証明書)などの必要書類をそろえたうえで、家庭裁判所に子の氏の変更の許可審判を申し立てます。裁判所の許可が下りると、許可の審判書などの必要書類を役所に提出します。



これにより、お子さんはあなたの戸籍に入籍すると同時に、戸籍上もあなたの旧姓に名字が変更されます。

 

なお、15歳未満のお子さんは、親権者が代理で手続を進めることができますが、15歳以上のお子さんは自ら手続をすることが必要になります。

 

デイライト法律事務所小野佳奈子協議離婚だけでなく、調停離婚や訴訟離婚など、裁判上の離婚が成立した場合も、お子さんの名字を変更させるには同様の手続が必要です。

 

このように、お子さんの名字は離婚成立と同時に変わるのではなく、家庭裁判所の許可が必要となるので注意が必要です。

離婚に伴い、お子さんの名字に関してお困りの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談ください。

 

離婚後の手続きについてはこちらをご覧ください。

 

 

 


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