再婚後も面会交流をしなければなりませんか?

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

悩む女性のイメージイラスト私は、数年前に離婚をして以来、子どもの親権をもって育ててきました。離婚後、子どもは定期的に元夫に会わせています。

そして今回、元夫とは別の男性との再婚が決まりました。再婚にあたり、私の子どもは男性と養子縁組をする予定です。

再婚により子どもに新たに父親もできますので、元夫と子どもをできれば会わせたくないと思っています。

再婚をし、養子縁組をしたとしても、元夫と子どもの面会交流は続けなければならないのでしょうか。

 

あなたが再婚し、お子さんが再婚相手の男性と養子縁組をしたとしても、元夫との面会交流を続ける必要があります。

面会交流権は、子どもの親であることから当然に生じる権利です。

今回、あなたは再婚し、それに伴い養子縁組も行うとのことですので、お子さんには新たにもう一人、法律上の父が生じることになります。

しかし、そのことにより、元夫がお子さんの父でなくなるわけではありません。

たとえ親権をもっていなくても、お子さんが別の男性と養子縁組をしたとしても、元夫はお子さんの父であることに変わりはありません。

そして、お子さんの父である以上、お子さんと面会交流をする権利も引き続き有することになります。

また、それにより、お子さんも引き続き、元夫と交流をし、元夫からの愛情を実感しながら成長することも可能になります。

面会交流の権利以外で注意すること

お子さんの養子縁組により面会交流をする権利は失われませんが、あなたが元夫に養育費を請求できなくなる可能性があることには注意が必要です。

なぜなら、再婚に伴い養子縁組をすることで、お子さんを扶養する義務が再婚相手の男性に発生し、元夫がお子さんを扶養する義務は再婚相手の義務に後退するものと考えられているためです。

その意味では、お子さんと再婚相手の男性との養子縁組は、元夫との関係でもとても大きな意味を持ちます。

家族のイメージ画像自らの再婚に当たり、面会交流をめぐって元配偶者との関係についてお悩みを持たれる方は多くいらっしゃいます。

一度面会交流に関する合意を結んだ後も、面会交流の内容や実施方法について、再度話合いが可能な場合もあります。

面会交流についてお悩みの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

面会交流のコツについて詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

再婚した場合の面会交流のポイント

上記問題点を踏まえて、再婚した場合の面会交流のポイントについて解説いたします。

子どもの真意はどうか

面会交流を断絶した場合に懸念されるのは、元夫と会えなくなることによる子どもへの悪影響です。

これまで面会交流を実施していたのに、突然、面会交流がなくなると、子どもは「父親に捨てられた」かのような感覚を持つかもしれません。

そのため、まずは子ども自身が、面会交流についてどのように感じているのかを確認すべきです。

その際、注意しなければならないのは、子どもの真意を汲み取ることです。

「母親が面会交流について消極的」であると感じていれば、優しい子どもは母親に気を使って面会交流を希望しないというかもしれません。

しかし、それは決して子どもの成長にとってよくありません。

そのため、母親の考えを察知されないように振る舞うことが重要です。

また、乳幼児など、物心がついていない子どもの場合、「再婚相手を実の父と思ったほうがよいのではないか」と考える方もいます。

しかし、実の父親の存在を知らずに育つ子どもは不幸だという意見があります。

また、子どものときは本当の父親ではないと気が付かなかったとしても、いつか判明するでしょう。

そのときのショックは計り知れないものがあるかもしれません。

そのため、筆者の個人的な意見としては、面会交流を継続させて、実の父と育ての父の双方からサポートを受けたほうが良いと考えます。

 

再婚相手との話し合い

楽しい家族のイメージ再婚した場合、人によっては、面会交流を快く思わない方もいるかもしれません。

しかし、面会交流は、元夫から請求されると、よほどの事情がないと、実施しなければなりません。

また、上記のとおり、子ども自身の健やかな成長のためにも実現していくべきです。

そのため、再婚相手の方には、面会交流の制度内容や意義について、知っておいてもらう必要があります。

面会交流についての知識がなく、再婚すると、婚姻生活がうまくいかなくなることが懸念されます。

そのために、再婚相手とよく話し合い、理解を得ておくことが重要です。

 

養育費について

養育費

再婚して、子どもを再婚相手の養子とすると、再婚相手は法律上の親として、養子に対する法的な扶養義務が生じます。

そのため、実の父親が養育費の減免を申し出ると、養育費は減免される可能性が高くなります。

すなわち、実の父親の扶養義務は補助的なものとなり、再婚相手の資力がなく、子どもを食べさせていけないなどの事情がある場合についてだけ扶養義務を負うこととなります。

もっとも、実の父親が任意に養育費を支払うことは可能です。

再婚したことをきっかけとして、実の父親に面会交流を拒むと、実の父親から養育費の減免を申し入れられるケースが散見されます。

実の父親としては、面会交流を拒否された上に、養育費だけ支払わされるのに納得がいかないという気持ちになるのでしょう。

このような養育費の問題も踏まえると、面会交流の断絶は慎重になったほうがよいでしょう。

 

 


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