未婚の母。養育費を請求できますか?

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

執筆者:弁護士宮崎晃

妊婦のイメージイラスト私は、事情により、結婚することなく子どもを出産しました。

子どもの父親とは今後も結婚する予定はありませんが、父親としての責任は果たしてもらいたいと思っています。

そこで養育費を請求することを考えていますが、可能でしょうか。

 

○を出す男性のイラスト養育費を請求することは可能です。

たとえ父と母が婚姻していなくても、夫婦の関係と親子の関係は全く別のものですので、男性には子どもの父親としての責任と義務があります。したがって、当然、養育費を支払う義務を負います。

 

もっとも、男性がまだ子どもの認知手続を行っていないのであれば、まずは認知手続を行うよう求める必要があります。認知があって初めて、男性は法律上も子どもの父親となるのです。

母子のイラスト男性が認知手続に応じないようであれば、あなたは男性に認知を求めて家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停においても男性が認知に応じないのであれば、あなたは裁判所に対し、認知の訴えを提起することが可能になります。その際には、男性と子どものDNA鑑定を行い、証拠として提出することが考えられます。裁判所は、裁判に提出された証拠などを踏まえたうえで、認知を認めるかどうか判断を下すことになります。

認知手続が完了すれば、男性は法律上も子どもの父親となりますので、あなたは養育費を請求することが可能になります。

この養育費に関しても、協議で合意に達しない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることにより解決することになります。養育費に関して調停でも合意が成立しなければ、家庭裁判所が審判で適正な金額を決定することになります。

 

このように、男性は子どもの父親である以上、たとえ自らそのことを認めなくとも、家庭裁判所の手続を経ることで、法律上の父親として一定の義務を負います。

男性の子どもとして認知されると、子どもは養育費を請求できるほか、相続の場面では男性の相続人となり、他の相続人とともに男性の遺産を相続する権利を持つことになります。

 

産まれたての赤ちゃんの画像認知や養育費の手続は、今度お子さんが成長していくうえでとても大切なものですので、これらを希望する場合には速やかに行うことが大切です。

結婚せずにお子さんを出産した女性で、男性に対する養育費の請求などをお考えの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

養育費について詳しくはこちらをご覧ください。

養育費の問題点

養育費は母親の権利であること

母子子供を育てていと、学校の授業料、食費だけではなく、習い事の費用、被服費、雑費など何かと金銭が必要になってきます。

ところが、養育費については、きちんとした額を受け取っていない方が多く、社会問題化しています。

未婚のお母さんであっても、子供を育てていくために、金銭が必要なのは同じです。

子供のためにも、相手方から適切な額の養育費をもらう必要があります。

 

裁判所の手続きは時間を要する

認知や養育費の支払義務について、相手方が争ってくると、調停や訴訟を提起する必要が出てきます。

そうなると、養育費について決着が着くまでに、長年月を要することとなります。

できるだけ裁判などは回避することがポイントとなります。

 

 

未婚の母が養育費を請求するポイント

上記問題点を踏まえて、未婚の母が養育費を請求するポイントについて解説いたします。

話し合いでの解決を優先する

養育費の分担調停は、ケースにもよりますが、解決までに長期間を要する傾向です。

また、養育費は子どものために必要なお金であり、今後も継続して支払ってもらうものです。

そのため、可能であれば、裁判所の手続きではなく、当事者同士の協議で解決した方が良いと思われます。

もっとも、当事者同士の解決では、注意しなければならないことが2つあります。

養育費の適正額を押さえる

1つは、養育費の適正額を押さえておくということです。

養育費の適正額を知らずに、相手方から提示された額を鵜呑みにしてしまうと、本来もらえるはずの養育費をもらえずに、損をする可能性があります。

当事務所では、養育費の目安を素早く確認したいという方のために、オンラインで、かつ、無料で自動計算できるサービスをご提供しています。

養育費算定シミュレーターはこちらからどうぞ。

 

公正証書の作成

2つ目は、口約束にはしないということです。

養育費は、子どもが自立するまで、継続して支払ってもらうものです。

そのため、できれば、公正証書にしておくことが望ましいでしょう。

公正証書にしておければ、万一、相手方が支払ってくれなくなった場合、強制執行が可能となります。

公正証書について、くわしくはこちらをごらんください。

 

早めに請求の意思を表示する

養育費は、相手に請求していない場合、過去に遡って支払いを求めることが困難です。

そのため、早期に、相手に養育費の支払い請求の意思表示をすべきです。

養育費を相手が支払ってくれない場合、文書等(できれば内容証明郵便)で通知したほうが望ましいでしょう。

口頭での通知は、相手が否定した場合、証明することが困難となるからです。

当事務所では、養育費の支払通知書のサンプルをダウンロード可能です。

ダウンロードはこちらからどうぞ。

 

調停では調停委員会に適正額を算定してもらう

電卓とお金相手が協議に応じれくれない場合、やむを得ず、養育費の分担調停を申立てます。

調停は、話し合いの場ですので、基本的には、調停員会は双方の言い分を聞いて、合意できるように双方を説得していきます。

このとき、双方の主張の中間ではなく、適正額になるように注意してください。

例えば、本来、養育費が月額10万円の事案において、当方が「12万円欲しい」と主張し、相手が「6万円を支払う」と主張した場合、双方の中間だと9万円ということになります。

しかし、これだと、本来もらえる額(10万円)よりも、1万円少ないことになってしまいます。

このような結果にならないように、調停員会には、「適正額を計算してほしい」と伝えるようにされた方がよいでしょう。

なお、養育費の適正額については、当事務所のホームページでもある程度把握することが可能ですので、ぜひごらんください。

 

 

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