親権の審判ではどのようなことが考慮される?【弁護士が解説】

執筆者 弁護士 勝木萌
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

弁護士の回答

親権者の判断や監護者の審判では、子の福祉を最優先に考え、監護の継続性、子の年齢、子の意向、親の生活状況、監護意欲、監護補助者がいる場合はその状況や意向などが総合的に考慮されることになります。

親権とは

母子親権とは、簡単に言えば、子どもを育てていくことができる権利です。

法律上の親権の内容としては、①身上監護権(民法820条)②財産管理権(民法824条)に分けられます。

親権者について、当事者双方が希望して、調停が成立しない場合、離婚訴訟の中で、裁判所が親権者を判断し、判決という形で命令を出します。

親権と似た内容として、監護権というものがあります。

親権を争うと最終的な結論(判決の確定)が出るまで長年月を要します。

そこで、親権者が確定するまでの間、暫定的に子供を監護する親を決めることが多くあります。

このとき請求するのが「子の監護権」です。子の監護権を請求する場合、当事務所では通常、「子の監護者の指定の審判」を申し立てます。

親権の取得についてお悩みの方はこちらもご覧ください。

 

 

親権や監護権の判断基準

子供達のイラスト親権者の判断や監護者の審判の判断基準については、法文上得に明文の規定はありませんが、当然子の福祉を中心に考慮することになります。

跡取りなどの親側の都合を理由にすることはできません。

上記考慮要素の中でも、特に子の意向や子の生活状況、家庭環境などについては、当事者から提出された資料によるほか、家庭裁判所調査官が家庭状況や子の意向などを調査することがあります。

これまでの審判例などで考慮された事項で重要とされるのは、①監護の継続性、②子の意向、③乳幼児期における母親優先、④兄弟不分離、⑤親の状況等です。

親権や監護権の判断基準
監護の継続性
未成年者がある程度の期間、一方の親のもとで安定した生活を送っている場合、監護の継続を図るという意味から現状で一緒に住んでいる親(監護親)を優先する考え方です。
理由として、未成年者の心身の安定から、むやみに環境を変えないほうがよいということが挙げられます。
子の意向
子どもの監護者の指定、その他子どもの監護に関する審判の際、未成年者が15歳以降であるときは、未成年者の陳述を聴かなければなりません。
調停では、必ず子どもの陳述を聴かなければならないわけではありませんが、子どもの意向は十分考慮される必要があります。
もっとも、子どもが15歳未満あっても、10歳前後であれば、自分の意思を表明することができるとして、その意向が確認されることになります。
乳幼児期における母親優先
従前、特に乳幼児は母が養育監護すべきという考え方が定着していましたが、家族形態や家族間の変化などで、父親が養育監護するケースも増えており、乳幼児期における母子関係の重要さも考慮した上、ほかの要素もあわせて考慮されることになります。
兄弟不分離

兄弟姉妹は分離すべきでないという考え方が定着しており、未成年者の年齢が低いほどその傾向は強くなります。
一方で、既に分離された状態が一定期間続いている場合や、未成年者の年齢が高い場合は、柔軟に考えることになります。

親の状況等
親の生活状況、家庭環境、経済力、監護補助者の状況や意向なども考慮されることがあります。
ただし、経済力については、収入が少ない場合でも、公的扶助や養育費などで補えることからも、収入や資産が多いほうが有利という考え方にはなりません。

親権を決める際に子供の意向がどれくらい反映されるのかについてはこちらをご覧ください。

 

 

まとめ弁護士以上、親権や監護権の判断基準について解説しましたがいかがだったでしょうか?

親権や監護権は、子供と一緒に生活していくための重要な権利です。

そのため、これらを取得することができるのか、適切に見極めることがポイントとなります。

親権等の取得可能性を判断するためには、高度な専門知識と経験が必要と思われます。

そこで、親権等でお悩みの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

当法律事務所の離婚事件チームは、親権の諸問題に精通した弁護士のみで構成される専門チームです。

離婚問題でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

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