財産分与

夫婦の財産はどうやって分けるか?

ba61c59bd16052cab689527e4637d0cb_s離婚する際には、それまで夫婦で築き上げてきた財産や所有物をそれぞれに分けなければなりません

早く離婚したいという気持ちが強い場合には、十分な話し合いをせずに判断してしまう場合も多々見られます。

後になってもめないためにも、お互いがそれぞれ新しい道を歩んでいくためにも、経済面での清算もきちんと行いましょう

離婚する際に財産を分けることを「財産分与」と言います

財産分与の目的は、それまで夫婦が協力して築き上げてきた財産を公平に分配することです。

 

財産分与の割合はどのように決めるか?

不動産や預貯金など、自分名義のものは離婚後も自分のものだと考えてしまいがちです。

しかし、どちらの名義であるかということだけで判断してしまうと、分与の割合が一方に偏ってしまうことも多く、公平な清算になりません。

基本的には、分与の割合は夫婦それぞれの財産形成に対する貢献度によって決まるという考え方が取られています

ではどうやって貢献度を決めるのでしょうか。

夫が働いて得た収入で家計を支え、妻は家事に専念して生活を支えているという場合も多く見られます。

夫婦共働きの場合にも、家事や子育てによって勤務形態が制限されるということもあるでしょう。

こういったことを考慮すると、財産形成に対して、どちらがどれだけ貢献したかを判断するのは非常に難しい問題です

そのため、これまでの例を見ていると収入額だけではなく、家事労働も評価の対象として、5:5として認められる傾向にあります

 

 

どんな財産が分与の対象になる?

財産分与の対象となる財産

●共有財産
共有名義のマイホームや自動など結婚後に夫婦が協力して築いた共有名義の財産です。
タンス貯金やへそくり、結婚後に購入した家財道具などもこれに含まれます。

 

●実質的共有財産
預貯金、株、不動産、自動車など、結婚後に夫婦が協力して築いた財産のうち一方の名義のものです。
離婚の際には、名義に関わらず、結婚期間中に夫婦が協力して築き上げてきた財産は分与の対象となります。

 

対象財産別の注意点

●不動産
これまで結婚生活を営んでいた自宅(戸建やマンション)は、基本的には財産分与の対象と考えてよいでしょう。
ただし、自宅の購入資金をすべて相手の両親が負担したような場合、特有財産として、財産分与の対象とはならないと考えられます

 

●預貯金、現預金
預貯金や現金については、基本的には財産分与の対象となります。
しかし、次のようなものは、特有財産となる可能性が高いでしょう。

 

●株式等
夫婦が婚姻中に株式等の有価証券を取得した場合、財産価値があれば、当然財産分与の対象となります。

 

●退職金
退職金は、あくまで将来支給を受ける金銭であり、現時点では存在しないものです。
そのため、財産分与の対象として認められるか否かは問題となります。

 

●保険
生命保険、学資保険、損害保険には、契約内容によって解約した場合に解約返戻金が発生するものがあります。
その場合には保険に財産的価値があるので、財産分与の対象となります。

 

●自動車
およそ財産的価値のあるものであれば、すべて財産分与の対象とできますので、自動車も当然対象となりえます。

 

●未払いの婚姻費用
未払いの婚姻費用(生活費)がある場合に、これを財産分与で考慮することができるか、という問題があります。

 

財産分与の対象とならない財産

●特有財産
結婚前に貯めた預貯金や結婚前に購入した家具などです。
結婚後に親兄弟から贈与されたものや相続遺産などもこれにあたります。

 

 

不動産

これまで結婚生活を営んでいた自宅(戸建やマンション)は、基本的には財産分与の対象と考えてよいでしょう。

ただし、自宅の購入資金をすべて相手の両親が負担したような場合、特有財産として、財産分与の対象とはならないと考えられます。

住宅ローンがある場合

ご相談にお見えになる方の多くは、住宅ローンを抱えていらっしゃいます。

住宅ローンが残っている場合、時価から住宅ローン残額を控除して、プラスであれば2分の1ルールで算定し、これがマイナスであれば、財産分与請求権は生じないということになります。

具体例 財産分与の対象があり、住宅ローンも残っている場合
不動産:時価2000万円
預貯金:600万円
生命保険:解約返戻金400万円
住宅ローン残額:1000万円


財産分与:( ( 2000万円 + 600万円 + 400万円)− 1000万円 ) ) ÷ 2 = 1000万円
となります。

ac76d8f70cc3404b711e90346e04c406_s住宅ローン残額が3000万円以上のときは、マイナスとなるため、財産分与請求権は生じないということになります。

この場合、借金をどちらが負担するかなど、不動産が絡むと複雑困難の問題が生じます。

不動産と財産分与について、よくある質問はこちらをご覧ください。

 

 

 

 

預貯金、現金

たくさんのお金のイメージ画像預貯金や現金については、基本的には財産分与の対象となります。

しかし、次のようなものは、特有財産となる可能性が高いでしょう。

特有財産となる可能性が高いもの
  • 結婚前からもっていた預貯金、現金
  • 結婚後、自分の親からもらったお金
  • 別居後の預貯金

評価の方法

預貯金については、その残高が財産分与の対象となります。

なお、婚姻中に形成されたものであれば、名義は関係ありません。

例えば、夫名義の預貯金が400万円、妻名義の預貯金が100万円でも、その合計500万円が夫婦の共有財産となり、財産分与の対象となります。

 

調査方法

預貯金については、基本的には通帳の残高を確認します。

このとき、通帳のコピーをとっておいた方が無難です。

相手が通帳を開示してくれない場合、裁判所を通じて銀行に対して取引履歴を開示してもらう方法があります。

また、相手が資産隠し目的で預貯金を移動している疑いがある場合も、同様の方法で過去の取引履歴の開示が可能です。

過去の取引履歴については金融機関によって異なりますが、どの金融機関でも10年前までは遡ることが可能なようです。

 

 

株式等

f5f8ee52eebb71dbee2d1d1885920419_s夫婦が婚姻中に株式等の有価証券を取得した場合、財産価値があれば、当然財産分与の対象となります。

評価方法

株式等の有価証券は、その時価をもって、評価します。

 

調査方法

上場会社の株式は、取引が頻繁に行われているので、調査は容易です。

この場合、経済新聞やインターネットなどで時価を調べることが可能です。

問題となるのは、非上場会社の株式です。

実際に多いのは、夫が会社経営者であり、その会社の株式のほとんどを所有しているという場合です。

基本的には夫の株式も財産分与の対象と考えられますが、その時価の調査が難しくなります。

このような場合、会社の財務諸表等の資料を揃え、複雑な方法で算出しなければならないので、専門家に依頼して時価を算出することとなります。

株式と財産分与についてよくある質問はこちらをご覧ください。

 

 

退職金

Print退職金は、あくまで将来支給を受ける金銭であり、現時点では存在しないものです。

そのため、財産分与の対象として認められるか否かは問題となります。

例えば、10年後に退職金を受け取る予定でも、現在の経済状況や社会状況からすると、10年後にその退職金を本当に受け取れるかどうかはっきりしない方が多いでしょう。

他方で、2〜3年後に退職予定で、現時点でその額がはっきりしている場合、退職金が給料の後払い的な性格を有することからすれば、財産分与の対象とならないとするのは行き過ぎです。

そこで、実務的には、数年後に退職し、その時点での退職給付金の額が判明している場合、財産分与の対象としています。

評価方法

評価方法としては、次の方法があげられます。

数年後に給付される額を現在の額に引き直して計算
ここで、この計算にはライプニッツ係数等を用いて原価を算出します。
財産分与の基準時における支払額を財産分与の対象とし、これを稼働期間と婚姻期間で按分

具体例

別居時(又は離婚時)の退職金が1000万円
稼働(在職)期間が20年
婚姻期間が10年の場合


1000万円 × 10年 ÷ 20年 = 500万円

したがって、500万円が財産分与の対象となります。

 

調査方法

調査資料としては、会社の退職金規定等になります。

相手が退職金規定を開示しないような場合、裁判所を通じて会社に提出してもらうという手続も可能です。

退職金と財産分与についてよくある質問はこちらをご覧ください。

 

 

保険

生命保険、学資保険、損害保険には、契約内容によって解約した場合に解約返戻金が発生するものがあります。

その場合には保険に財産的価値があるので、財産分与の対象となります。

これについては、基準時(別居時ないし現在時)の解約返戻金が対象となります。

具体例 夫婦が別居中で、別居後の協力関係がない場合
解約返戻金の額
別居時:200万円
現在 :500万円


基準時は別居時と考えられるので、200万円が対象となります。

別居後に増加した300万円は、夫婦が協力して形成したものとはいえないからです。

調査方法

プリント保険については解約返戻金の見込額が財産分与の対象となります。

この場合、解約返戻金の見込額の証明書を保険会社へ連絡して取り寄せることとなります。

保険と財産分与についてよくある質問はこちらをご覧ください。

 

自動車

およそ財産的価値のあるものであれば、すべて財産分与の対象とできますので、自動車も当然対象となりえます。

ただ、自動車の場合、相当の年数が経過すると、財産的価値がなくなります。

そのため、登録してから10年以上も経っているような場合は対象となりにくいといえます(旧車などでコレクターにとって価値があるような車は別です。)。

評価方法

自動車は、不動産と同様に時価相当額が財産分与の対象となります。

もっとも、自動車については、自動車ローンが残っている場合も多くあります。

このような場合、不動産と同様に自動車の時価相当額からローン残高を控除したものが対象財産となります。

 

調査方法

自動車については、中古車業者等に見積もりを出してもらう方法があります。

また、インターネットで同じ車種、同じ年式の自動車の販売価格を調べるという方法もあります。

自動車と財産分与についてよくある質問はこちらをご覧ください。

 

 

 

未払いの婚姻費用

未払いの婚姻費用(生活費)がある場合に、これを財産分与で考慮することができるか、という問題があります。

財産分与で未払い婚姻費用を考慮する方法

まず、未払い婚姻費用を算定
婚姻費用の分担額を算定する際の算定方式により、未払い婚姻費用を算定します。
婚姻費用についてはこちらからどうぞ
次に、財産分与の請求権者と支払義務者の資産、収入等を検討
支払義務者の資力が十分であれば、全額を加算し、そうでなければ、一定額を加算するという方法が採られています。
具体例 夫が別居し、妻子に対して婚姻費用をまったく支払っていない場合
夫の年収:500万円
妻の年収:120万円
子ども:10歳
婚姻費用:月額8万円


夫が別居し、妻子に対して婚姻費用をまったく支払っていなかったため、妻はやむなく借入金や親兄弟の援助により生活費を賄っていたとします。

別居から3年後、離婚することになり、財産分与の対象財産が合計1000万円であったとします。

通常であれば、財産分与の2分の1ルールでは、夫、妻とも500万円ずつの財産を取得するはずです。

しかし、このような事案では、未払いの婚姻費用を精算しないと公平を欠きます。

そこで、実務では、未払い婚姻費用がある場合、財産分与で考慮できるという扱いをしています。


上記の例では、婚姻費用が月額8万円とすると、合計288万円(8万円 × 3年)となります。

夫の資力は十分ですので、288万円全額を加算します。

結果

夫の取得分は212万円(500万円 − 288万円)、妻の取得分は788万円(500万円 + 288万円)となります。

 

 




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