離婚後に未成年後見人を指定したい場合、どうしたらいいですか?
未成年後見人は遺言で指定することが出来ます。
未成年後見人とは
未成年後見人とは、未成年者に対して親権を行う者がいないとき又は親権を行う者が管理権を有しない場合に選任される人で、未成年者の身上監護や財産管理を行います(民法838条1号参照)。
具体的には、離婚後に親権者となった方がお亡くなりになったため親権者が存在しなくなった場合などに選任されます。
未成年後見人は、子供の身上監護について親権者と同一の権利義務を有する(民法857条、820条~823条)とされているため、未成年後見人は子供の居所を指定したり、監護教育方針を決定することができるため、未成年後見人を誰にするかということは子供の生活に大きな影響を与えます。
未成年後見人を指定しておかないとどうなるか
離婚時に子供の親権者となった方が、「もし自分に万が一のことがあったら、別れた元配偶者が親権者となって子供の面倒を見ることになるのか?」と心配されることは少なくありません。
結論としては、このような場合、別れた元配偶者が当然に親権者となることはありませんが、元配偶者が親権者変更の申立てをした場合には元配偶者が親権者となる可能性があります。
未成年後見が開始される前に元配偶者から親権者変更の申立てがなされた場合には親権者変更が認められることが多く、親権者変更が認められた場合には元配偶者が親権者として子供の面倒を見ることになります。
そして、この場合には未成年後見人が選任されることはありません。
そこで、離婚時に子供の親権者となった方が、ご自身に万が一のことがあった場合でも元配偶者に子供の親権者となって欲しくない場合には、あらかじめ親族の方と調整した上、ご自身が亡くなった場合には直ちに未成年後見を開始させるための準備しておくことが重要です。
なお、親権者変更と未成年後見の関係について詳しくはこちらをご覧ください。
未成年後見人の指定方法
親権者が未成年後見人を指定していなかった状況において未成年後見が開始される場合、家庭裁判所が、子供にとって最も適切と考える人物を未成年後見人に選任します(民法840条1項)。
そのため、場合によっては元配偶者が未成年後見人に選任されることもあります。
そこで、離婚時に子供の親権者となった方が、ご自身に万が一のことがあった場合でも元配偶者に子供の未成年後見人となって欲しくない場合には、あらかじめ遺言で未成年後見人を指定しておく必要があるでしょう。
民法839条1項は「未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。」と定めているため、遺言により未成年後見人を指定しておくことで元配偶者以外の人物を未成年後見人に選任させることが可能となります。
具体的には、以下のような遺言を作成することで、未成年後見人の指定が可能です。
遺言書
遺言者は、未成年者である○○○○(平成○○年○○月○○日生)の未成年後見人として、次のものを指定する。
住 所 ○○○○
氏 名 ○○○○
職 業 ○○○○
生年月日 ○○○○