財産分与を請求したいのですが、何か手続きが必要ですか?

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

財産分与は、夫婦の共有である財産の清算であったり、離婚後の扶養の問題を処理したりするものなので、財産分与の方法や額については、当事者間の協議によって決めるのが原則となります。

離婚届を出す前に、夫婦が協議の上で財産分与の方法や額を決めて、離婚協議書や公正証書を作成し、その中に財産分与についての規定を入れることが多いです。

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もっとも、夫婦で協議をすることができなかったり、協議してもまとまらない場合があります。

このような場合には、申立てにより家庭裁判所が審判をします(民法768条2項、家事審判法9条1項乙類5号)。

また、審判の申し立てではなく、調停の申立てをすることもできます(家事審判法17条)。

調停は裁判所を利用した当事者同士の話し合いの場であり、当事者が合意しなければ不成立となるのに対して、審判は裁判所が当事者の意見を聞いてはっきりと結論を出す点で異なります。

 

なお、財産分与の審判の申立ては、離婚後、2年以内にしなければなりません(民法768条2項但書き)。

審判の申立てがなされた場合、担当家事審判官は、そのまま審判するか、事件を調停に付して調停で解決するかを決めます。

いずれにしても、調停が不成立になれば、審判をすることになります。

以上は財産分与を単体で申し立てした場合の話です。

 

家庭裁判所が財産分与について判断するのは、財産分与の調停及び審判の申立てがされた場合です。

離婚の調停は、夫婦関係を調整することが目的の調停なので、離婚することに争いがなく、財産分与が実質的な争点だったとしても、不成立となった場合には、当然に財産分与の審判に移動するものではありません。

離婚調停とは異なり、離婚訴訟となった場合、財産分与は婚姻関係の解消に付随する重大な身分的・財産的事項となります。

財産分与は離婚の請求と密接な関係を有するため、関係する紛争をまるごと一気に解決するのが便宜であるとの考え方から、離婚の裁判と同時に、財産分与についての処分も裁判しなければならないことになっています。

こうした処分を「附帯処分」といい、離婚訴訟の場合にはこの附帯処分の申立てに基づいて財産分与に関する裁判をすることになります(人事訴訟法32条1項、2項)。

 

 


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