子どもの学資保険も財産分与の対象となるのでしょうか?
保険料が夫婦共有財産から支払われている場合、対象となりえます。
この内容について詳しく解説いたします。
学資保険と財産分与
子どもを育てるのはとにかくお金がかかります。
大学まですべて公立に通うのか、私立に通うのかでまず大きな差があります。
大学についても学部によって差がありますし、私立の医学部医学科に通うとなればそれだけで相当な出費となります。
住む場所が地方なのか都市部なのかによって生活費も変わってきます。
そのため、都度の出費に備え、学資保険をかける夫婦はたくさんいらっしゃいます。
夫婦関係が円満であるうちは、夫婦で協力して積み立てをされます。
一方、夫婦関係が破綻し、協力関係が失われたとき、この学資保険をどうするのかが問題となってきます。
まず、保険料を自分または相手方配偶者が支払っており、それが婚姻期間中に取得した財産 (給与など)が原資となっている場合、対象となりえます。
これは、財産分与が、同居期間中に夫婦で築いた財産を折半する制度であることによります。
子どものために積み立てたものだから子どものものだ( = 夫婦の財産分与対象から外すべきだ)というイメージを持たれている方はたくさんいらっしゃいますが、必ずしもそうではありません。
財産分与の制度からすれば、学資保険は子が築いた財産ではありませんし、その使途を決めるのも親である夫婦だからです。
そして、基準時(多くは別居時)の解約返戻金相当額を、学資保険の財産的価値と評価して考えることになります。
一方で、学資保険の保険料を自分の親が全額出してくれたなどの場合、夫婦で協働して築いた財産とはいえませんので、財産分与の対象とはならないと考えられます。
では、学資保険が財産分与の対象になるとして、どのようにこれを夫婦で清算するのでしょうか。
一般的に、学資保険の名義は夫であることが多い傾向にあります。
離婚後も夫が学資保険を自分名義として保持したいのであれば、それは夫の取得財産として考えます。
具体例預金が夫婦合わせて100万円、夫名義の学資保険が30万円だったとします。
総財産は130万円なので、夫婦の各取り分は65万円となります。(130万円 ÷ 2)
このうち、夫はすでに30万円の価値がある学資保険を保有しているわけですから、取り分である65万円のうちすでに30万円を取得していると考えることになります。
したがって、預金については夫が35万円、妻が65万円を取得しあって清算となります。
なお、学資保険は、子どもが一定の年齢になったときに満期金として戻ってくるものがほとんどですが、学資保険を取得した夫は、この満期金を子に渡す義務まであるわけではありません。
あくまで個人の財産として取得することになりますので、途中で解約しようが、満期金を自分で取得しようが、それは夫の自由ということになります。
では、夫の学資保険を妻に名義変更する場合です。
分け方は前述と同様の計算によります。
先ほどの数字を使うと、30万円の価値のある学資保険を名義変更により妻が取得するわけですので、妻:30万円の学資保険と預金35万円 夫:預金65万円となります。
妻は、自身が名義人となるわけですので、その後の保険料の支払いは妻がすべきということになります。
もし、夫が学資保険の取得を希望しない、かつ妻も保険料が支払えない、といった場合は、この保険を解約し、返戻金を二人で分配することになります。