親権者が死亡したら親権はどうなりますか?【弁護士が解説】

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)

子どもの親権について質問です

私は5年前に妻と離婚しました。

妻との間には子どもが一人いますが、妻が親権を取得し、子どもを育てています。

しかし、妻が今年になり亡くなりました。

唯一の親権者である妻が亡くなってしまった場合、子どもの親権はどうなるのでしょうか。

できれば子どもは私が引き取り育てたいと思っています。

 

 

親権とは

親権とは、簡単に言えば、子どもを育てていくことができる権利です。

法律上の親権の内容としては、①身上監護権(民法820条)と②財産管理権(民法824条)に分けられます。

わかりやすく言えば、身上監護権は子供と一緒に生活していく権利です。

財産管理権は子供に代わって子供名義の預貯金等の財産を管理する権利です。

なお、親権と似た言葉として、監護権というものがあります。

親権を争うと最終的な結論(判決の確定)が出るまで長年月を要します。

そこで、親権者が確定するまでの間、暫定的に子供を監護する親を決めることが多くあります。

このとき請求するのが「子の監護権」です。

子の監護権を請求する場合、当事務所では通常、「子の監護者の指定の審判」を申し立てます。

 

 

親権者が亡くなったらどうなる?

家族父母が婚姻しているとき、子どもの親権は双方が持っています。

しかし日本では、離婚に際して未成年の子がいる場合、いずれかの親にのみ親権が認められています。

これを単独親権といいます。

この親権者が死亡すると、生存している親に親権が自動的に認められることにはなりません。

したがって、生存している親が親権を取得したいと考えた場合、子どもの親権者を定める審判(親権者の指定あるいは変更)を家庭裁判所で行う必要があります。

また、親権者を定める審判以外にも、未成年者後見人と定める審判の手続をする方法も考えられます。

これにより生存している親が親権者となることはできませんが、未成年者後見人として子どもの世話をしたり、法定代理人となることができます。

このように、いずれの手続きにしても、家庭裁判所に対して、審判を申し立てる必要があります。

 

結婚している間に死亡したら?

これに対して父母が結婚している(離婚する前の)場合は、一方の親が死亡したとしても他方の親の親権が引き続き残ります。

したがって、生存している親が親権を取得して子どもを育てるための特別な手続は必要ありません。

 

 

親権者の指定・変更の審判とは

上記のとおり、親権者が死亡した場合で、他方の親が親権を取得したいと考えた場合、子どもの親権者を定める審判(親権者の指定あるいは変更)を家庭裁判所で行う必要があります。

この審判手続は、離婚の際に決めた親権者の死亡、行方不明、精神障害などの理由によって、親権者を他方の親に変更する必要がある場合に、活用する手続きです。

この審判を申し立てると、家庭裁判所は、未成年者の福祉のために必要があると認めるときに、親権者を他方の親に変更します。

裁判所申し立て先は、子供の住所地の家庭裁判所となります。

もし、子供が複数いる場合は、そのうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所であればどこでもかまいません。

審判が確定したら、10日以内に、役場に親権者変更の届出をしなければなりません。

届出には、以下の書類が必要となります。

審判書謄本

これは家庭裁判所から渡してもらえます。

確定証明書

家庭裁判所に備え付けの申請用紙がありますので、その用紙に記入し、収入印紙(150円分)とともに、持参するかまたは、郵送で申請できます(郵送の場合には返信用の切手を添えてください。)。

戸籍謄本など

※詳しくは届出をする役場にお問い合わせください。

 

親権者の変更が認められる場合とは

親権者変更は、「未成年者の福祉のために必要がある場合」は認められます。

親権者が死亡しているので、生存している親に特段の問題がなければ、変更が認められると思われます。

しかし、例えば、以下のような場合は、親権者変更が認められない可能性があります。

  • 生存している親に生活していく能力がない。
  • 子供を虐待したなどの事情がある。
  • 子供が明確に生存している親との生活を拒絶している。
  • 親権者変更に不当な目的がある。

いずれにしても、未成年のお子さんを育てるためには、親権者であることや未成年者後見人であることはとても大切です。

お子さんの生活に支障をきたさないためにも、速やかに手続を行う必要があります。

親権の取得について、ご不安がある方はこちらのページもぜひ御覧ください。

 

 

まとめ弁護士以上、親権者が死亡した場合の各種手続きやそのポイントについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。

親権の変更は、あなたやお子さんの将来に大きな影響をあたえるため、慎重に判断する必要があります。

当事務所の離婚事件チームは、離婚問題に精通した弁護士のみで構成されるチームであり、お子さんの親権に関するご相談を多く承っております。

親権者変更の適否について、ご相談者様と一緒に考えて、最適な結論を導くようサポートいたします。

また、親権者変更をご希望される場合、代理人として家庭裁判所に審判を申し立てることも可能です。

離婚後の親権や監護権についてお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

ご相談の流れはこちらからどうぞ。

 

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執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
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