不貞の慰謝料を支払わなくてよい場合とは?

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

悩む男性のイラスト私には妻がいます。妻とは長年不仲で、私から離婚を求めていますが、10年近く応じてもらえない状況が続いています。離婚を求めたころから妻とは別居生活をしているため、別居期間も10年ほどになります。

今年になり、私は妻とは別の女性と不貞関係を結びました。このことを知った妻は私に対し、慰謝料を請求すると言っています。

私は妻に慰謝料を支払わねばならないのでしょうか。

 

ポイントイメージイラストあなたは慰謝料の支払い義務を負わない可能性があります。

 

日本では、婚姻した夫婦は相互に貞操義務を負うとされています。

そして、配偶者以外の異性と性的関係をもつことは「不貞行為」と呼ばれ、民法上の離婚原因とされているほか、慰謝料を請求する理由となります。

 

しかし、不貞行為を行ったとしても、反論が認められ、慰謝料の支払い義務を負わない場合もあります。
その反論の1つとして、破たんの抗弁と呼ばれるものがあります。

夫婦喧嘩のイメージイラストもそも不貞行為が慰謝料請求の原因となるのは、被害者である一方の配偶者の、結婚生活の平和という権利利益を害するからです。しかしながら、不貞行為があった時点ですでに夫婦関係が破たんしているのであれば、すでに守られるべき権利利益は存在しませんので、慰謝料は発生しないと反論することが可能なのです。

夫婦関係が破たんしているかどうかは、なかなか客観的な判断が難しいものです。そこで、別居の有無や別居期間の長さ、離婚協議がどれほど進んでいるか、離婚調停の申し立てはすでになされているか、などの事情を総合的にみて判断されることになります。

 

今回のケースでは、すでに10年ほどの別居期間があり、その間離婚の話も進められていますので、その他特段の事情がない限り、裁判所が破たんの抗弁を認める可能性は十分にあると考えられます。

破たんの抗弁について、詳しくはこちらをご覧ください。

>> 不倫の慰謝料請求をされた場合の反論①―破綻の抗弁―

 

このように、不貞行為を行った場合でも、慰謝料を支払わなくて済むケースもあります。

もっとも、この破たんの抗弁が認められるか否かは、個別具体的な事情により異なり、その判断には専門的な知識を要します。

不貞の慰謝料請求についてお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

 

 


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