離婚後の様々な手続き(医療保険・戸籍と姓)

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

「離婚協議書を作成し、離婚届を出せば離婚は全て完了」と考えられる方は多いですが、実はその後の手続きの方が煩雑であり、転居届けや健康保険の変更といったように、より生活に密着した事柄に関する手続きをする必要があります。

離婚後の姓

離婚離婚すると原則的には結婚によって姓の変わったほうは、結婚前の姓に戻ります。

婚姻中の夫婦の戸籍は1つですが、離婚後の戸籍は当然別になります。

結婚をした場合、どちらかの姓を筆頭とする戸籍を新しく作りその戸籍に入るということとなります。

離婚する場合、筆頭とした戸籍から除籍されるため、結婚前の親の戸籍に戻るか新しく自分の戸籍を作らなければなりません。

離婚後の戸籍と姓の選択には、3通りの方法があります。

離婚後の戸籍と姓の3つの選択
  • 離婚前の戸籍と姓に戻る
  • 離婚後も婚姻中の姓とし、自分を戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作る
  • 婚姻前の姓に戻り、自分を戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作る

戸籍の選択変更は離婚成立後3ヶ月以内に実施しましょう。

先ほども述べましたが、原則的に婚姻に際し姓を変更した方の姓はもとの姓に戻ります。

本人が婚姻中の姓を継続して使用した場合は、離婚後も婚姻中の姓を継続して称することもできます。

離婚後も婚姻中の姓を継続して称する場合は、離婚成立後3ヶ月以内に離婚の際に称していた氏を称する届を市区町村役場に提出します。

(これは、元の配偶者の承認や証人を必要としないため、自分ひとりで届出を行うことができます。)

離婚成立後、3ヶ月経過してしまうと家庭裁判所に氏の変更許可の申し立てを行い、姓を変更する許可が必要となります。

このとき、変更を求める理由が厳しく問われますので、必ず離婚成立後3ヶ月以内に手続きを行って下さい。

離婚の際に称していた氏を称する届を離婚届に添えて提出すれば、提出手続きは1回で済み、提出し忘れることもありません。

しかし、提出後、旧姓に戻りたいと思うようになることも多々あるので、離婚届と同時に提出しないで、猶予期間の3ヶ月間に慎重に考えてから、離婚後の姓を決めた方が良いでしょう。

離婚届には、婚姻前の姓に戻る方の戸籍について記載する欄があります。

離婚する際は、あらかじめ離婚後の戸籍と姓について決めておかなければなりません。

しかし、離婚後、生活や心情の変化から離婚の際に決めた姓を変更したいと思うこともあります。

こうした場合にも、氏の変更許可の申し立てを家庭裁判所に行い、家庭裁判所の許可が得られれば、離婚の際に決めた性を変更することができます。

 

離婚後の医療保険

被保険者証医療保険は生活する上で重要な事柄です。

離婚した際に医療保険がどのようになるかどうかは状況によって変化します。

経済的な事情で医療保険の保険料の支払いが困難な状況という場合は、保険料の減額制度を利用することができます。

状況を見極め適切な対処をすることは重要です。

それではケース別に見てきましょう。

ケース1 自分自身が会社員または公務員の場合

基本的には、会社員または公務員の方は健康保険に加入していると思います。

給料から保険料金が支払われていると考えられます。

その場合は、離婚をしても今まで通りとなります。

 

ケース2 自分自身が会社員または公務員の妻(専業主婦)の場合(健康保険の場合)

225745保険料を納めていなくても、夫の健康保険に扶養として加入していると考えられます。

その場合、離婚後は夫の扶養から外れることになりますので、就職して健康保険に加入します。

もし、就職しない場合は国民健康保険に加入することとなります。

後者のように収入が無い状況の場合は、保険料を納める事が困難だといえます。

このような場合は、役所に相談して保険料減額または減免の届を出す事で保険料を抑えることができます。

※離婚後に国民健康保険へ加入する場合は、夫の勤務先から『資格喪失証明書』を発行してもらい、その書面を持って市区町村役場で国民健康保険への加入手続きをする必要があります。

 

ケース3 自営業またはアルバイトの場合(国民保険の場合)

201509自営業やアルバイトの方は、現在、国民健康保険に加入していると考えられます。

特に手続きは必要ありません。

離婚後、会社に就職する場合は会社の健康保険に加入するので問題ありませんが、それ以外の場合は国民健康保険の保険料を自分で払わなければなりませんので、納める事が困難な場合は、役所に相談して保険料減額または減免の届を出しましょう。

 

ケース4 子どもを母親の保険へ移す場合

子どもの保険は、親権や同居の有無は問われないため、離婚後も元配偶者が加入する医療保険の被扶養者として加入し続けることもできます。

しかしながら、元配偶者には便りたくない、負担をかけたくないという場合は、子どもを母親の保険へ移すことができます。

流れとしては離婚後に、元配偶者は子どもを保険(国保又は健保)から抜く手続である『資格喪失証明書』を発行します。

その資格喪失証明書を母親側へ送り、母親はそれを持って国保であれば市区町村、健保であれば勤務先へ持って行き手続をします。

この際にも、経済的に支払う余裕がないという場合、保険料の減額制度を利用する事ができます。

利用したいという場合は、一度市区町村役場へ相談に行ってみると良いでしょう。

 

 

その他の主な離婚成立後の手続き

その他、主な離婚成立後の手続きは以下の通りです(画像をクリックすると拡大表示されます)。

離婚手続き0001.png

このように離婚成立後には、生活する上で大切な重要な手続きが膨大にあります。

どれも「申請を忘れていた」というだけでは許されない事柄が多数あります。

私は多くの方の申請業務を代行した実績があるため、確実に申請業務を遂行することができます。

もし、「確実に申請を行いたい」「煩雑な手続きを代行して欲しい」という方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

ご相談の流れはこちらをご覧ください。

 

 


離婚が成立するか