破産しても養育費の支払いは受けられる?【弁護士が解説】

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)

弁護士の回答

養育費の支払義務のある親が破産しても、養育費の支払債務は免責されず、破産後も養育費の支払義務があります。

自己破産とは

倒産、破産のイメージイラスト

破産は、債権者に対して債務を負う者が、自分が負っている債務を全部弁済することができない場合、自分の財産を債権者らに提供して換金するなどしたうえ、公平に配分する手続です。

破産手続きによる債務処理が終わり、破産者の「免責」決定が確定すると、原則、債権者は破産者(債務者)に対し、対象となる債権(免責債権)の支払いを請求できなくなります。

こうした破産手続きで対象となる債権は、原則として裁判所によって破産開始決定がされた時点に存在する債権であり、その時点までに支払期日が到来する養育費も、対象となります。

 

養育費も免責の対象となる?

子供達のイラスト養育費は、支払義務のある者に対する債権であり、強制執行が可能な債権ですが、破産手続き上、ほかの債権者に優先するわけではなく、ほかの債権者と公平に取り扱われます。

しかし、養育費は子どもの生活保持のための扶養義務に基づく債権という性質上、破産手続によっても免責債権となりません(破産法253条1項4号)。

養育費の調停成立後、破産開始決定の時点で未払分の養育費について

破産開始前に支払期日が到来する養育費は、破産手続きで処理される債権として、破産手続きによってのみ回収すべきこととなり、破産手続きが続いている間、強制執行することはできません。未払分の養育費については、破産債権として届出をし、破産管財人が破産する人の財産を換金するなどして、ほかの債権者と公平に分配することになります。

もっとも、養育費債権は上述のとおり免責債権とならないため、破産手続きが終了して免責決定がされても、破産前に未払いとなっている養育費のうち破産手続きでも分配を受けられなかった残額分を、あらためて養育費支払義務のある親に請求することができます。

 

破産手続き終了後に生じた養育費債権

養育費債権は免責債権とならないことから、養育費支払義務のある親が破産し、破産手続きが終了した後であっても、養育費支払義務が子どもが成年に達するなどして終了するまで、その支払を求めることができますし、新たに取得した財産に対して強制執行することも可能です。

以上が法律上のお話になりますが、養育費支払義務のある者が破産する場合、実質的に回収が困難であるといえます。

強制執行によっても、その対象となる財産を有しないのが通常だからです。

 

 

養育費を支払ってもらうためのポイント

①書面での合意をする

上記のとおり、養育費は、相手が破産したとしても、法的には支払ってもらう権利がありますが、支払い能力がないため、もともと取り決めていた額の養育費を支払ってもらうことが難しい状況だと想定されます。

しかし、相手の支払い能力がないのは、一時的なものにすぎない可能性があります。

そのため、養育費の再開の時期について、相手と協議すべきです。

また、未払い分の養育費を将来的にどのように支払うかも(例えば、分割払いなど)、協議すると良いでしょう。

そして、協議がまとまったら、その内容を合意書に記載することをお勧めします。

合意書を作成しておくことで、後日の養育費の不払いを防止できる可能性があります。

 

②養育費の適正額を把握する

相手が破産する場合、収入の減少を理由として、養育費を減額してほしいとの要望されることが多くあります。

この場合、注意しなければならないのは、養育費の適正額を調査するということです。

いくら相手が破産するからと言っても、相手の収入に応じた適正額を受け取る権利があります。

相手の提示額を鵜呑みにせずに、離婚問題に詳しい弁護士に相談するなどして適正額を把握し、納得した上で、減額に応じるようにしましょう。

養育費の適正額の調べ方については、こちらのページを御覧ください。

 

弁護士以上、相手が破産した場合の養育費について解説しましたがいかがだったでしょうか?

破産の場合、法的にはもらう権利があったとしても、事実上、回収することが難しいことが想定されます。

しかし、養育費は、子供の健やかな成長のために必要不可欠なものです。

そのため、養育費でお悩みの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

当法律事務所の離婚事件チームは、養育費の諸問題に精通した弁護士のみで構成される専門チームです。

離婚問題でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

まとめ

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養育費
執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)