孫に会わせない・・・法律はどうなっている?【弁護士が解説】
息子夫婦が離婚し、嫁が孫たちの親権者となったのですが、祖父母として定期的に孫たちに会いたいです。
祖父母が定期的に孫と面会交流することはできないのでしょうか。
原則としてお孫さんとの面会交流をする法的権利は認められていません。
しかし、お孫さんの成長のためであれば、面会交流の交渉を試して見られてはいかがでしょうか。
孫との面会交流
日本では、原則として、親以外の第三者(祖父母等)が、子どもと面会交流をする権利は認められません。
すなわち、民法上、面会交流については、離婚の際に、非監護親(子どもと離れて暮らす親)と監護親(子供と一緒に暮らす親)との間で子の利益を最優先に考慮して協議で定めるものとされています(民法766条1項)。
その上で、協議によってこれを定めることができない場合に家庭裁判所がこれを定めることとされています(同条2項)。
このように、法律上、面会交流はあくまで親に関するものであって、祖父母等の親以外の第三者については、面会交流の実施事態はもとより、実施のための協議を求める立場ではないという考え方が一般的です。
孫の面会の裁判例
では、孫との面会交流は絶対に認められないのでしょうか。
祖父母と孫との関係が実質的に親と同視しうるようなものであり、面接交渉を認めることが子どもにとって利益となる場合もあります。
先述のとおり、祖父母等の第三者には面会交流について根拠付ける明文がないため、離婚等の問題について取り扱われる家事調停ではなく、一般調停として受け付けられることになるかと思われます。
祖父母との面会交流に関し、家庭裁判所の審判でこれが認められた例があります。
これは、祖父母が親代わりとして孫を養育していたところ、父親からの子の引渡し請求が認められ、祖父母が孫を父親に引き渡したという状況で、孫に負担とならないようになだらかに環境を変化させるための経過措置として、祖父母に面会交流が認められた事案です(東京高決昭52.12.9)。
もっとも、この審判例は、あくまで子の監護者の指定・引渡事件であり、祖父母が面会交流を求めた事件ではありません。
なお、外国では、一定の条件の下で祖父母等と子どもの面会交流権が認められている国があるようです。
ほとんどの州の制定法で、父母だけでなく、祖父母にも面接交渉の申立権を付与されています。
そのほかにそう祖父母、継親、兄弟姉妹、家族構成員、親族など、子の福祉や利益に関心をもつ者にまで広げる州もあるようです。
フランスでは、民法上、祖父母等と子(孫)の人的交流が子どもの権利として明記されています。
すなわち、子の利益となる限り親以外の第三者との交流も定められるとしています。
その他、ヨーロッパ各国等では、祖父母と子どもの面会交流権が認められているようです。
このように、諸外国では、孫との面会交流が認められています。
今後、日本においても、議論すべき問題であり、立法による解決が望まれます。
孫との面会を成功せるための3つのポイント
①協議で解決する
日本の上記のような状況を踏まえると、面会交流を裁判で争うことは得策ではありません。
裁判で争っても、面会交流が認められる可能性がほとんどないからです。
孫との面会交流を成功させるためには、できるかぎり、協議(示談交渉)によって進めていくべきです。
②母親に十分配慮する
孫と面会交流が実現できない多くのケースは、孫を育てている母親と揉めている場合です。
祖父母が母親に対して、しつけや家事などで口出ししすぎると、母親にとって大きなストレスとなります。
そして、母親が祖父母に会わせることに消極的になってしまうのです。
祖父母としては、孫のことが心配なのはわかりますが、育児について、あまり口出しをせず、見守ってあげるようにすべきでしょう。
また、面会交流の日時や実施方法などについて、母親側の事情に十分配慮し、できるだけ提案を受け入れるようにするとスムーズに行く可能性があります。
③母親にとって有利な条件を提示する
面会交流に母親が消極的な場合、面会交流に応じるようなインセンティブを与えるという方法も考えられます。
例えば、祖父母が子供の生活費の一部を支払う、などの条件です。
もっとも、面会交流は子供の福祉のためのものであって、金銭と対価関係にあるような制度ではありません。
母親としても、金銭を提示されたからと言って、すぐに面会交流に応じてくれるようにはならないでしょう。
そのため、条件の提示の仕方には工夫が必要でしょう。
まとめ
以上、孫との面会交流について解説しましたがいかがだったでしょうか?
面会交流は、お孫さんの成長を知ることができる貴重な機会であり、祖父母の方にとって重要な意味を持ちます。
お孫さんとの面会交流でお困りの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。
当法律事務所の離婚事件チームは、離婚問題に精通した弁護士のみで構成される専門チームです。
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