按分割合を0.5以外とする旨の合意をしたいのですが可能ですか?
可能です。
年金分割の按分割合について、合意分割という当事者間の合意によって按分割合を定める方法によれば、按分割合を0.5よりも低い数値とすることができます。
逆に、改定を受ける妻(又は夫)を0.5より高い数値とすることはできません。
ここで、按分割合を0.5よりも低い数値にできるといっても、年金分割の制度の趣旨が、離婚後の高齢単身者の生活保障とされていることから、按分割合については、原則として0.5とすべきであると考えられています。
実務上も按分割合は0.5とされていることが多いようです。
しかしながら、当事者がこのような年金分割の趣旨を理解した上で、それでも0.5よりも低い数値で合意をしたいという場合も考えられます。
例えば、早期に離婚をすることを優先させたい場合や、他の金銭的問題の合意の条件とするような場合等です。
このような場合には、当事者が制度の趣旨を十分に理解していることを前提に、年金分割の割合を0.5よりも低い数値とすることも十分に考えられると思います。
以上の話しは、冒頭でも述べたように合意分割の話になりますが、按分割合について当事者の意向により変更することができない3号分割という制度があります。
3号分割とは、夫婦の一方が被用者年金に加入し、他の一方がその被扶養配偶者として厚生年金保険法上の第3号被保険者と認定されていた期間があるときに、その期間について、被扶養配偶者から年金分割請求をすることにより、保険料納付記録を当然に2分の1の割合で分割するという制度です。
3号分割制度については、当事者の合意が必要ありませんので、配偶者の同意を得ることなく夫婦の一方の請求により行うことが可能となります。
ただし、3号分割制度を利用できるのは、平成20年4月1日以降に離婚をした夫婦で、年金分割請求ができる期間についても同日以降の部分に限られることに注意が必要となります。