無職の相手に養育費を請求できる?【弁護士が解説】

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)

弁護士の回答

相手が無職の場合も養育費を請求できる可能性があります。

 

養育費とは

養育費とは、離婚後の子どもの生活に必要な費用をいいます。

子どもの生活に必要な費用として、食費、衣服費、教育費、交際費、病院代等が考えられます。

養育費の額について、法律は、監護に要する費用としてまず協議で定め、協議が整わないとき、または協議できないときは家庭裁判所で定める旨規定しています(民法771条)。

したがって、本来、養育費の額は、法律上、「この額でなければならない」という決まりはありません。

父母双方が協議で合意さえすれば、「いくらでもいい」というのが答えです。

しかし、通常、親権者(権利者側)は将来に対する不安などから、養育費をたくさん受け取りたいと考えます。

反対に、非親権者(義務者側)は相手に対する不信感などから、養育費はできるだけ少なくしたいと考えます。

そのため、養育費の額については、目安となる適正額が設定されています。

その適正額は、双方の収入、子どもの年齢が数によって、計算式に当てはめて算出されます。

この計算式をわかりやすく早見表にしたのが「算定表」と呼ばれるもので、家裁実務上、よく活用されています。

養育費の算定表はこちらのページをごらんください。

 

 

相手が無職の場合

相手が働いているのであれば、夫の収入は、源泉徴収票や確定申告書などから把握することができます。

しかし、夫が無職の場合、会社などから給与を得ることはできませんので、収入と呼べるものがないように思われます。

①定年退職して無職の場合

年金のイメージ画像定年退職して無職の場合、給与がないことから収入がない可能性があります。

しかし、このような場合でも、夫に給与収入とは別の収入があれば、それをもとに養育費の算定が可能になります。

たとえば、夫が年金受給者の場合には、その年金相当額の収入があるといえます。

ほかにも、株式の配当収入、不動産の賃料収入、生命保険の配当収入など、いくつかの収入が考えられます。

これらを夫が得ている可能性がある場合には、妻はその資料を集め、夫の収入の総額を計算します。

夫がこれらを収入として認めないのであれば、調停などの家庭裁判所の手続を利用して、最終的には家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。

 

②仕事を辞めた場合

夫に働く能力があるにもかかわらず、仕事を辞めてしまうケースもままあります。

その場合、給与以外の収入もなければ、夫は現実に何らお金を稼いでいないことになります。

しかし、このような場合に、夫の年収を当然にゼロとして養育費の金額を定めるのは不合理な結果を招くことにもなりかねません。

そこで、このような場合、働こうと思えば働ける能力(潜在的稼働能力といいます。)があるものとして、その収入を推計して養育費の金額が算定されることがあります。

 

③解雇されている場合

この場合は、夫が自らの意思で離職したわけではないので、潜在的稼働能力があるとは一概にはいえないでしょう。

夫の解雇の理由や再就職の可能性など具体的な事情をもとにケース・バイ・ケースで判断することになります。

例えば、夫が重度の精神疾患にかかっている場合で、当面の間、再就職が難しいような状況であれば、潜在的な稼働能力が認められない可能性もあります。

しかし、その場合でも、失業給付や障害年金などの公的な給付の有無や内容を調べることが必要です。

また、夫の解雇が社内での問題行動などが原因で、再就職が可能な状況であれば、潜在的な稼働能力が認められると思われます。

弁護士このように、夫の年収がゼロに見える場合であっても、養育費を請求できる場合があります。

 

無職の相手に婚姻費用が請求できるかについては、こちらをご覧ください。

 

 

養育費を支払ってもらうためのポイント

①他の収入の有無や再就職の可能性を調査する

デイライト法律事務所宮崎晃夫が無職だからといって、すぐに養育費をあきらめる必要はありません。

上記のとおり、無職でも、他に収入があったり、再就職したりする可能性もあるからです。

相手の主張を鵜呑みにせずに、離婚問題に詳しい弁護士に相談するなどして、他の収入や再就職の可能性を調査し、適正額を受けることができるようにしましょう。

 

②支払い条件を柔軟にする

無職の状況が一時的な場合、収入の減少も一時的なはずです。

このような場合、養育費の支払いを一定期間猶予するなどの柔軟な対応を取ることも検討した方がよいでしょう。

例えば、再就職までの期間が半年間程度の見込みであれば、最大半年間、養育費の支払いを猶予し、その間再就職が決まれば支払ってもらうなどの条件が考えられます。

 

まとめ弁護士以上、相手が無職の場合の養育費について解説しましたがいかがだったでしょうか?

相手が無職になったとしても、それが一時的なものである場合や、他の収入がある場合、養育費を請求できる可能性があります。

したがって、具体的な状況を調査し、適切な額の養育費を支払ってもらうようにすべきです。

また、養育費は、子どもの健やかな成長のために必要不可欠なものです。

そのため、養育費でお悩みの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

当法律事務所の離婚事件チームは、養育費の諸問題に精通した弁護士のみで構成される専門チームです。

離婚問題でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

ご相談の流れはこちらからどうぞ。

 

 


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執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)