子どもの医療費を養育費として請求できる?

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

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私は3年前に夫と離婚しました。

夫から養育費をもらいながら娘を育てていますが、この娘に今年大病が見つかりました。

娘は現在闘病中ですが、医療費が高額で、生活はとても苦しいです。

そこで、養育費の増額を請求したいと思っていますが、認められるでしょうか。

 

 


養育費の増額が認められる可能性があります。

 

離婚当時合意した養育費の金額は、その後全く変更できないわけではありません。
離婚当時には予測できなかった事情の変更がある場合には、それを根拠に養育費の増額を請求できる場合があります。

 

今回、娘さんに大病が見つかったということですが、これは離婚当時予測できなかった事情の変更に当たります。
そして、離婚しても、親権をもっていなくても、元夫は娘さんの父親です。
病気の治療費は、その性質から父親も負担すべきものと当然言えますので、娘さんのために高額な医療費が発生しているのであれば、元夫もその収入に応じて医療費を負担すべきといえます。

 

ここで、子どもの医療費と養育費の算定表との関係についてもご説明いたします。
養育費の金額について双方が合意に達しないとき、養育費の算定表と呼ばれるものを使います。

養育費の算定表については、こちらをご覧ください。

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この算定表は、通常かかる諸費用がすでに考慮されたうえで、養育費の適正額を計算したものであり、例えば軽い風邪をひいて病院にかかる場合などに発生する治療費は、すでにここで加味されているといえます。
しかし、特別な治療費についてまでここで考慮されてはいません。
したがって、子どもに大病が見つかるなど、特別で高額な治療費を要する場合には、この算定表から導かれる適正額に、治療費を加味したうえでの金額を算出し、養育費を請求することができると考えられます。

この場合、この高額な医療費を、夫と妻双方の基礎収入で案分し、養育費を支払う側の負担分を養育費の適正額に加算することになります。

 

このように、養育費に関して特別な事情がある場合には、算定表により算出される適正な金額を超えて請求できる場合があります。

もっとも、その金額の計算方法については専門的な知識が必要です。

養育費に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

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