認知した父が親権を取得する方法を教えてください
私と交際していた女性との間に、子どもが生まれました。
私たちは様々な事情から結婚しないことになりましたが、子どもは私の子として認知手続を済ませています。
子どもが生まれてしばらく経ちましたが、女性は新しい交際相手にのめりこんでいるようで、子どもの面倒をきちんと見ているように思えません。
そこで、私がこの子を引き取り、育てていきたいと思っていますが、それは可能でしょうか。
親権者として家庭裁判所に指定してもらうことができれば、あなたがお子さんを引き取り育てることは可能です。
あなたは認知した父ですが、現在、お子さんの親権者は母親である女性ですので、女性の同意なく、お子さんを引き取り、育てることはできません。
そこで、あなたが女性に代わり、親権を取得する方法を考える必要があります。
あなたを親権者とすることに女性が応じない場合、あなたがお子さんの親権者となるには、家庭裁判所からお子さんの親権者として認めてもらう必要があります。
そこで、親権者指定あるいは変更の調停・審判を申し立て、手続を進めます。
この手続は、女性があなたが親権者となることに了承しない場合には時間がかかることが予想されますので、その間お子さんを女性のもとに置いておくことが適切でないと思われる場合には、以下の4つ等を検討する必要があります。
①女性の親権者としての職務執行を停止させるための審判
②あなたをその間親権者の職務執行代行者として家庭裁判所に定めてもらうことを求める審判
③子の引き渡しの審判
④①から③の保全処分
これらの手続においてあなたの主張が認められれば、親権者指定について裁判所の最終的な結論が出る前であっても、あなたはお子さんと一緒に生活をすることが可能になります。
そのためには、あなたの方で、お子さんを監護するための環境をととのえ、お子さんの面倒を見る人としてふさわしいのだと認めてもらえるだけの事情をたくさん準備しておく必要があります。
認知した父も子どもの親権を取得できる可能性は十分にありますが、上述のような複雑な手続を経る必要があり、専門的な知識が不可欠です。
認知したお父さんで、お子さんの親権についてお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。
認知した父が親権を取得する場合のポイント
上記問題点を踏まえて、認知した父が親権を取得する場合のポイントを解説いたします。
充実した面会交流を実施する
上記のとおり、親権者の変更は、当事者間の合意ではなく、家裁での正式な手続が必要となります。
親権者の指定等の手続は、申立てから解決まで、かなりの時間を要するものと想定されます。
また、この引き渡し審判や保全処分は、親権者の指定等よりは早期に解決できますが、それでも通常のケースでは半年程度はかかる見込みです。
このように、どうしても時間がかかってしまうため、結論が出るまでの間は面会交流を充実させていくことがポイントです。
面会交流は、親権者ではない親が子どもと定期的に会って交流するというもので、子どもの健やかな成長のために必要不可欠な制度です。
もし、母親側が面会交流に消極的な場合、家裁に面会交流の調停を申し立てることも可能です。
また、親権者変更の手続きの中で、母親側が面会交流に消極的であることを主張すると、変更を求める側に有利な事情の一つとなると考えられます。
面会交流について、くわしくはこちらをごらんください。
母親側の説得
親権は、子供をどちらが育てるかという極めて重要な権利です。
お金の問題であれば妥協できても、親権では絶対妥協しない、という方が多い傾向です。
そのため、親権者の変更を申立てた場合、相手方である母親側が徹底的に争ってくる可能性があります。
親権者の変更について母親側の了承が得られないことにより、泥沼の戦いとなるためストレスの増加や、家裁の手続に長期間を要することが見込まれます。
また、よほどの事情がないと、家裁は親権者の変更を認めない傾向です。
そのため、争いとなった場合、最終的に親権者変更が認められない可能性が濃厚です。
このような問題があるため、親権者の変更は、可能な限り、「母親を説得して了承を得る」というスタンスが望ましいでしょう。
そのためのポイントは、母親側に「安心感」を与えることです。
親権者変更を申し立てると、母親は「子どもを取られる」「子どもと会えなくなるのでは?」という不安があります。
これに対して、親権者変更の代わりに、面会交流の充実を提案することで安心してもらえる場合があります。
例えば
「母親が望めばいつでも子どもと面会交流できる」
「宿泊付きの面会交流も認める」
などの条件です。
ご質問のケースでは、母親が交際相手にのめり込んでいるという状況ですので、このような提案をすることで、親権者の変更に了承してもらえるかもしれません。
認知した父が親権を取得するときの問題点
当事者の負担が増加する
親権者の変更は、裁判所の手続を利用するため、解決までの長期間を要する傾向があります。
また、労力がかかる手続のため、通常、弁護士費用も高額化する傾向にあります。
男性側が不利な場合が多い?
親権の取得はケースにもよりますが、通常、母親側が有利と言われています。
本事案のように、親権者を途中で変更する場合は、それよりも難易度が高い場合が多いと思われます。
親権についてはこちらもご覧ください。