子供が親権を選べる年齢とは?子供の意思はどのぐらい反映される?

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

 

女性夫と離婚することになりました。

子どもは10歳で、私も夫も子どもの親権を希望しています。子どもは私と一緒に暮らしたいと言っています。

このままだと調停に進む可能性もありますが、親権を決めるにあたり、子どもの意思を考慮してもらうことはできるのでしょうか。

 

子どもの意思も、子どもの年齢や精神発達の程度に応じて考慮される可能性があります。

現在裁判所では、ある程度自己の意思を上手に表すことのできる10歳前後のお子さんからは、お子さんの意向を確認し、裁判所の判断にも反映させる傾向にあります。

子どもの意思の考慮について

親の離婚は、子どもにとっても重大な影響をもたらすものであり、その意思はとても大切です。

しかし、まだ幼い子どもであれば、自分の意思を上手に表すことができませんし、一方の親の圧力から本心と違うことを言ってしまうこともあるかもしれません。

そうでなくても、子どもは一般的に父も母も両方のことが大好きなので、父と2人のときは父についていくと言い、母と2人のときは母とついていくと言う可能性も十分考えられます。

このように、子どもは親の離婚の場面ではとても複雑な立場に置かれており、その意思については慎重に対応することが必要になります。

10歳前後というのはあくまで目安ですので、それより小さくてもお子さんの意向が考慮されることもあれば、それより大きくても考慮されないこともあります。

いずれにしても、お子さんの意向を確認する際には、お子さんが発する表面上の言葉にとらわれず、その真意がどこにあるのかが調査されることになります。

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今回のケースでは、お子さんは10歳ということですので、お子さんの意向が反映される可能性も十分にあるといえます。

もっとも、先述のとおり、お母さんと2人のときとお父さんと2人のときでは異なる発言をしている可能性もありますので、お子さんの真意がどこにあるかを裁判所も調査することになります。

 

離婚に際し、お子さんの親権で争いになるケースは少なくありません。

お子さんの親権に関してお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

 

 

親権についての問題点

監護状況についての立証の困難さ

母子親権者を決める上で、これまでの監護状況は極めて重要な判断要素となります。

特に、子供が10歳未満などの場合、「これまで主たる監護者がどちらであったか」で親権者が決まると言っても過言ではありません。

しかし、ここで問題なのは、自分が主たる監護者であったとしても、それを正確に立証することが難しいということです。例えば、食事を作っていた、食べさせていた、お風呂に入れていた、健康管理をしていた、送迎をしていた、などの事実について、相手方が否定しきたとき、これらを立証しなければなりません。

事実を証明できないがために大切な親権を取得できないというケースはとても多くあります。

 

冷静な話ができない

親権の奪い合いになると、父母双方の対立が激化する傾向です。

そのため、当事者同士が冷静に協議することは難しく、感情的になって話し合いにならないことがあります。

 

訴訟は長期化する

時計親権について争いになると、調停から訴訟まで行くことがあります。

この場合、判決まで数年を要すると思われます。

大切な人生のうち、数年間を裁判に費やすのは当事者双方にとってよくありません。

そのため、できるだけ訴訟は避けるべきです。

 

 

子どもの意思を反映するポイント

上記問題点を踏まえて、子どもの意思を反映させて、親権を取得するポイントについて解説いたします。

調査官調査を上申する

ご質問のケースは、お子さんが10歳の事案であり、子どもの意思が親権者の判断に及ぼす影響は大きいと考えられます。

このようなケースでは、子どもの意思を裁判所に適切に理解してもらうことがポイントとなります。

そのための方法として、家裁の調査官に子どもの意向調査をするよう上申することが考えられます。

調査官は、家裁の職員であり、子どもの意向や生活状況等について調査し、親権者の判定においても調査報告書を作成するなど、親権を決める上で重要な役割を果たしています。

調査官が作成する調査報告書は、公平な第三者であり、かつ、専門職の職員が作成したものとして、信頼性が高いといえます。

チェックリストそのため、子どもの意思を正確に伝えるために、調査官による調査は有効だと考えられます。

なお、親権争いの場面において、子どもが書いた手紙、子どもの会話の録音データ等を提出される方々もいますが、筆者の個人的な意見としては、意味がないどころかマイナスな印象です。

このような行動は、親権を取得したいがために、有利な証拠を作出しているような印象を受けるため、親権者としての適格性に疑問を感じることがあります。

 

父親の陰口を言わない

母親が父親に対して悪感情を持つことは仕方がないとしても、それを子どもの前で言うのはやめるべきです。

子どもは板挟みとなって苦しむと思われます。

親権者の判断においては、監護適格性が問われます。

母親の言動で、子どもがつらい思いをしていると、親権者として不適格であると判断される可能性があります。

 

面会交流を充実させる

面会交流の許容性は、親権者の判断基準において重要です。

夫婦の問題と親子の問題は切り離して考えるべきであり、離婚しても、これまでと同様の父子関係を築いていけるかという要素は、重要と思われます。

そのため、父親側からの面会交流の希望については、可能な限り、受け入れてあげるようにすべきです。

もちろん、DV事案など、面会交流を拒否することに正当な理由がある場合は除きますが、よほどの事情がないと、基本的には面会交流を実施すべきです。

 

 


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