相手が実家暮らしでも養育費を支払う必要がある?【弁護士が解説】
昨年、妻と離婚しました。
妻との間には、娘と息子がいます。
妻の実家は資産家で、離婚後妻は仕事をせず、実家の援助を全面的に受けて余裕のある生活を送っているようです。
それに比べて私の収入は少なく、借金の返済もあり、毎月ぎりぎりの生活です。
このよう場合まで、私は妻に子どもたちの養育費を支払わなければならないのでしょうか。
このような場合においても、あなたは養育費を支払わなければなりません。
養育費とは
養育費とは、離婚後の子どもの生活に必要な費用をいいます。
子どもの生活に必要な費用として、食費、衣服費、教育費、交際費、病院代等が考えられます。
養育費の減額について詳しい解説はこちらのページをごらんください。
相手が実家暮らしの場合、食費等の一部は不要となることが想定されるため、養育費を減免できないかが問題となります。
実家にいても支払い義務があるか?
民法上、親は子供に対して扶養義務を負っています。
この扶養義務は、子どもの親であるということから発生する性質のものであり、親権者である妻の実家が援助をしているからといって消える性質のものではありません。
また、妻の実家の援助は、好意から行われているものにほかならず、妻が高額な年収を得ている場合と同様に扱うこともできません。
もっとも、今回の事情によると、妻は両親の援助により仕事もしていないとあります。
そこで、妻に稼働能力があるのであれば、養育費の算定にあたり、妻の収入はゼロとはみなさず、働こうと思えば働く能力があることをもとに年収を推計することは可能であると思われます。
他方で、あなたの生活が苦しい理由の一つに借金の返済があるようですが、これも養育費を減額すべき事情とはならない可能性が高いです。
この借金がどのような理由で行われたものかにもよりますが、基本的には借金は養育費に勝る性質のものとは考えられていません。
したがって、養育費は何よりも優先して支払われるべき性質のものとして守られていると考えた方がよいでしょう。
養育費は、お子さんが社会人になるまでの衣食住、養育及び医療に要する費用であり、親である以上、その支払いのための努力は最大限行うべきです。
しかし、それでもどうしても養育費を支払い続けることが困難な場合、その理由によっては、養育費の減額や免除が認められることもあります。
このように、養育費の支払いに関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談ください。
養育費を減免するためのポイント
①養育費の適正額を調査する
養育費は、相手が主張する額が適正額とは限りません。
また、ネットなどで、ある程度については自分で調べることもできますが、参考程度に留めて、正確な額は専門家に相談すべきです。
養育費の正確な算定には、高度な専門知識と経験が必要であり、ネット上の情報で判断することは危険だからです。
例えば、相手が実家暮らしの場合、上記のとおり、稼働能力があると見て、収入があると擬制して養育費を算出する可能性がありますが、この場合、相手の収入をいくらと擬制するべきは、専門知識が必要となると考えられます。
そこで、相手の主張額を鵜呑みにせずに、離婚問題に詳しい弁護士に相談するなどして適正額を把握するようにしましょう。
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②養育費の減免の進め方
養育費の適正額を調べた上で、それよりもさらに養育費を減額したいという場合、調停などの裁判所の手続ではなく、相手と協議する方法をとった方がよいでしょう。
調停委員会は、相手を説得してくれるかもしれませんが、適正額については公平な第三者の立場に立って見解を伝えるはずです。
そのため、調停手続では、有利に進む可能性は低いでしょう。
また、調停手続きは、一般的に解決まで長期間を要します。
そのため、相手と協議が可能であれば、まずは試して見られるとよいでしょう。
まとめ以上、相手が実家暮らしのときの養育費について解説しましたがいかがだったでしょうか?
相手が実家暮らしであっても、養育費の支払い義務自体は否定されません。
しかし、養育費の適正な額を調査することで、相手の要求額を下げることができる可能性はあります。
そのため、養育費でお悩みの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。
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