夫婦不仲の場合は慰謝料を請求できない?【弁護士が解説】

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)

Aさんは、Aさんの夫であるBさんと不倫をしたCさんに対して不倫についての慰謝料請求をしましたが、BさんとCさんは、不倫をした時には既にAさんとBさんの夫婦関係は破綻していたのでAさんに対して慰謝料を支払う必要はないと主張ました。

このような場合、Cさんは本当にAさんに対して慰謝料を支払う必要はないのでしょうか。

 

 

弁護士の回答

AさんとBさんの婚姻関係が既に破綻していた場合には、特段の事情のない限り、CさんはAさんに対して不法行為の責任を負わず、慰謝料の支払いをする義務はありません。

したがって、AさんのCさんに対する慰謝料請求は認められないということになります。

 

破綻の抗弁とは

家庭内別居のイメージイラスト不倫が違法となるのは被害者である一方配偶者の結婚生活の平和という権利利益を害するためであり、婚姻関係が破綻している場合には、守られるべき権利利益はないということになります。

そこで、不倫の慰謝料請求をされた場合、夫婦仲が悪かったなどの事情があれば、不倫よりも前に夫婦関係が破綻していたことを反論することがあります。

これを「破綻の抗弁」といいます。

もっとも、過去の裁判例を見ても破綻の抗弁が採用されるのはかなり限定された場合であり、破綻の抗弁は認められ難いというのが現実です。

ここで、具体的に破綻の抗弁を主張する際に重要となる事実はどのようなものかをご説明します。

まずは、別居の有無です。別居といっても、短期間の別居や、別居後同居を再開した場合には、破綻が否定される傾向にあり、具体的にどれくらい別居の期間が必要かについては事案ごとに異なってきます。

次に、夫婦の離婚話が具体的に進んでいることです。

夫婦喧嘩の際に離婚の話が出ることがありますが、夫婦関係が破綻しているとまで言えるためには、離婚届けを作成したり、離婚調停を申し立てたりと離婚話が具体的に進んでいる必要があります。

もっとも、単に離婚届を作成しているだけという場合には破綻が認められないこともあり、破綻しているか否かは様々な要素を考慮して判断されることになります。

家庭内別居の状態での不貞行為が離婚理由になるかという点についてはこちらもご覧ください。

 

破綻していないことの主張立証

弁護士上記のとおり、不倫相手へ慰謝料を請求すると、破綻の弁済の抗弁を主張される可能性があります。

破綻の抗弁は、破綻を主張する側、すなわち不倫相手に主張立証責任があると考えられます。

しかし、仮に裁判となった場合、慰謝料を請求する側、すなわち被害者側としても、破綻していなかったことについて、積極的に主張し、証拠を提出するなどの訴訟活動を行うべきです。

そこで、以下、具体的な主張や証拠のポイントについて解説します。

証拠のポイント
同居していたこと
不貞行為があった当時、まだ夫婦が同居していたのであれば、破綻していなかったことを示す有力な事情となり得ます。
また、不貞行為が別居してから間もないときであっても同様です。
同居していた事実については、相手は否認してこないと予想されるので、特に立証までは不要でしょう。
万一、否認した場合は、住民票などを証拠とすることが考えられます。
性交渉があったこと
不貞行為があった当時、夫婦の間で性交渉があったのであれば、破綻していなかったことを示す有力な事情となり得ます。
夫婦の性交渉があった事実について、相手は否認してこない場合が多いと考えられます。したがって、立証までは不要となることが多いでしょう。
仮に否認した場合は、性交渉の事実については立証が難しくなる可能性があります。
例えば、施行症の存在を裏付けるようなLINEなどのやり取りがあれば、それを提出することとなります。
夫婦で外食や買い物に出かけていたこと
不貞行為があった当時、夫婦で外食したり、買い物に行くなど、行動をともにしていたのであれば、破綻していなかったことを示す有力な事情となり得ます。
これらの事実については、相手は否認してこない場合が多いと考えられます。
しかし、もし否認してきた場合、立証の方法としては、領収証やクレジットカードの明細を提出することが考えられます。
また、第三者の目撃証言(報告書)なども検討して良いでしょう。
夫婦間のコミュニケーションがあったこと
不貞行為があった当時、夫婦間で良好なコミュニケーションがあったのであれば、破綻していなかったことを示す有力な事情となり得ます。
夫婦間のコミュニケーションが良好であったことについては、相手は否認してくるケースが多いかと思われます。
立証方法としては、LINEのやり取りが現在、多く活用されています。LINEのメッセージに相手を気遣うようなものや、相手への感謝の言葉などがあれば、破綻していなかったという評価につながると考えられます。

 

まとめ弁護士以上、夫婦関係の破綻と慰謝料の請求について解説しましたがいかがだったでしょうか?

夫婦関係が完全に破綻していたら、不法行為が成立せず、慰謝料は請求できません。

しかし、実務上、裁判所が破綻を認めるケースはそれほど多くありません。

また、破綻については、請求する側、請求される側のいずれも具体的な事実についての主張や立証が必要となります。

これらについては、専門の弁護士でなければ適切なサポートができない可能性があります。

そこで、慰謝料でお悩みの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

当法律事務所の離婚事件チームは、慰謝料の諸問題に精通した弁護士のみで構成される専門チームです。

離婚問題でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

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執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)