年金分割の方法を教えてください【弁護士が解説】

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)

弁護士の回答

年金分割の合意分割を行う場合には、通常、情報通知書を取り寄せ、公証役場で合意書を作成し、年金事務所に提出します。

3号分割の場合は合意が不要です。

 

年金分割とは

年金分割とは、簡単に言うと、婚姻期間中の保険料納付実績を分割するという制度です。

年金分割の対象

厚生年金では保険料納付記録、共済年金では掛金払込記録が対象となります。

年金分割の対象外

国民年金や厚生年金基金、国民年金基金等は対象とはなりません。

そのため、夫婦双方が婚姻期間中ずっと国民年金であった場合には年金分割の問題が起こることはありません。

年金分割の種類には、合意分割と3号分割と呼ばれるものがあります。

年金分割の中身についてはこちらのページで詳しく解説しています。

以下、合意分割と3号分割のそれぞれについて、具体的な分割の方法を解説します。

 

 

合意分割の方法

ステップ1 情報通知書を請求します

年金手帳のイラスト夫婦であったものの双方または一方が、離婚の前後を問わず請求できるとされているのが年金保険料の納付状況や分割の対象となる期間等の情報が記載された「年金分割のための情報通知書」です。

年金分割において請求すべき按分割合を定めるに当たっては、按分割合の範囲を正確に把握する必要があります。

また、離婚時において問題を複雑化させないために、特にメリットがない場合は年金分割をしないという選択肢も考えられますが、その判断をするためにも当事者が年金分割に必要な一定の情報を把握することが必要です。

したがいまして、年金分割を考えるにあたっては、まずは情報提供請求をすべきでしょう。

この「年金分割のための情報通知書」は、次の書類があれば、最寄りの年金事務所で入手できます。

当事務所では、依頼者の方に、年金分割の情報通知書を取得するために必要となる書類について、わかりやすくまとめた書面を交付しています。

当事務所の依頼者交付書式についてはこちらのページを御覧ください。

年金機構のWEBサイトはこちら

 

ステップ2 年金分割の按分割合について当事者間で協議をします

合意分割においては、按分割合を当事者間で合意することができます。

ここで、按分割合の上限は2分の1とされていることから、2分の1かそれよりも低い数値で合意をすることになります。

当事者間で合意のための協議が調わない場合には家庭裁判所に調停の申立てを行うことも可能です。

ただし、家裁実務上は、ほとんどのケースで2分の1になっていると思います。

 

ステップ3 公正証書等の合意書を作成します

書類を作成する男性のイラスト当事者双方で協議がととのった場合は、年金事務所に年金分割請求をすることになりますが、その際には夫婦間で合意した内容を証明する書類が必要となります。

具体的には、当事者双方が年金分割請求をすること及び請求すべき割合について合意している旨記載し、当事者が自ら署名した書類や、当事者が標準報酬改定請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された「公正証書」を作成するか、又は、公証人に「私文書の認証」を受けることにります。

なお、当事務所では、基本的には私文書の認証をお勧めしています。

費用が若干安いことと、私文書の認証は、その他の離婚条件等が記載されていないのでプライバシーにも配慮できるからです。

私文書の認証のサンプル

当事務所では、ホームページ上に私文書の認証等の年金分割に役立つサンプルを掲載しています。

これらのサンプルは、無料でダウンロードが可能です。ぜひご利用ください。

サンプルのダウンロードはこちらから

裁判所を利用した場合

裁判所において、調停で年金分割を合意した場合や離婚訴訟で年金分割の判決が出た場合、公証役場の手続きは不要です。

この場合、調停調書や判決書の謄本等を年金分割に使用することになります。

 

ステップ4 年金分割の請求

弁護士年金の分割割合が確定したら、年金事務所に「標準報酬改定請求書」を提出することになります。

証役場での認証等、家庭裁判所の調停・審判又は判決に基づき自動的に分割されるわけではありませんのでご注意ください。

また、請求期限は、離婚成立日の翌日から換算して2年です。

当事務所では、依頼者の方に、年金分割の請求のために必要となる書類について、わかりやすくまとめた書面を交付しています。

当事務所の依頼者交付書式についてはこちらのページも御覧ください。

 

 

3号分割の方法

3号分割制度は、次の条件すべてに該当した場合に、国民年金第3号被保険者であった方からの請求により、相手方の保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる制度です。

  • 平成20年5月1日以後に離婚している、または事実婚関係を解消している
  • 平成20年4月1日以後に、お二人の一方に国民年金の第3号被保険者期間がある
  • 請求期限(離婚をした日の翌日から2年)を経過していない

※国民年金第3号被保険者:厚生年金保険の被保険者、共済組合の組合員の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の人をいいます。

3号分割は、上記のとおり、相手との協議は不要です。

したがって、ステップ4の年金分割の請求にいきなり進めます。

合意分割と3号分割は、どちらが有利なのかに関してこちらをご覧ください。

 

まとめ弁護士以上、年金分割の方法について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

年金分割は、分割する側、分割される側の双方にとって、将来の年金受給額に影響を及ぼす重要な制度です。

したがって、制度の内容をしっかりと理解した上で、スムーズに手続きを行うことがポイントとなります。

また、年金分割でお悩みの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

当法律事務所の離婚事件チームは、年金分割の諸問題に精通した弁護士のみで構成される専門チームです。

離婚問題でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

ご相談の流れはこちらからどうぞ。

 

 


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執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)