養育費が支払えなくなったら?

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の問合せ件数は累計1万件超え。

養育費について質問です

私は5年前に離婚しました。

私と妻との間の子どもは妻が親権をもっており、離婚後私は妻に養育費を支払っています。

勤めていた会社は近年業績がよくなく、今回私もリストラされることになりました。

私も一日も早く再就職先を見つけたいと思っていますが、それが見つかるのはいつになるのか分かりませんし、見つかったところでこれまでと同じ金額を稼ぐことができる可能性は低いと思います。

そのため、今後、養育費を支払うことは困難です。

このような状況ですので、私は養育費を支払わなくてよいでしょうか。


養育費の支払義務が直ちに消滅するとは考えにくいですが、減額が認められる可能性はあります。

 

養育費の金額の変更はできる?

養育費とは、子どもが社会人となるまでの衣食住、教育及び医療に要する費用のことを言います。

通常は、子どもが成人に達するまで、親は養育費を支払う義務を負います。

離婚の際、多くの夫婦が養育費の金額についても約束をします。

しかし、約束をしていたとしても、その後事情が変わり、約束した金額を支払うことが困難になることもあります。

そのような場合、その後の事情変更により養育費の金額を変更できる場合があります。

養育費の金額を変更できる事情には、たとえば、夫あるいは妻の収入の変化、再婚、子どもの養子縁組の成立など様々なものがあります。

年金のイメージイラスト

今回、あなたがリストラにより大きく収入が減少しているのであれば、ここでの事情変更に当たりますので、あなたは元妻に対し養育費の減額を請求することが可能になります。

ここで、給与がなくなるのであれば、当然に養育費の金額もゼロになるのではないかと思われるかもしれませんが、給与収入がゼロになっても失業保険を受給することが考えられます。

失業保険も養育費を算定するにあたり、あなたの収入として考えますので、あなたは養育費を支払う義務を変わらず負うことになります。

このように、養育費は子どもが成長するために必要な費用になりますので、親は適正な金額を支払う義務を負います。

もっとも、その後の事情変更により、一度決めた養育費の金額の変更が認められる場面も少なくありません。

養育費の金額についてお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

養育費を減額するための具体的な手続きは?

あなたが養育費を減額するための具体的な手続きとしては、主に、以下の2つの方法があります。

交渉

1つめは、元妻と交渉してあなたの状況を納得してもらうことで、減額した養育費月額で改めて合意をする方法です。
その際、後になって争いが蒸し返されることを防ぐため、合意内容を書面化した合意書を作成しておくことが必要でしょう。

養育費減額調停
2つめは、家庭裁判所に対して、養育費減額調停という調停を申し立て、調停委員会の関与の下、家庭裁判所の場で養育費の額について話し合いを行う方法です。
調停の場で、減額した額で合意が成立すれば、調停調書という形で、養育費月額が減額されたことが確認されることになります。

いずれの手続きも、あなたご自身で行うことは、もちろん可能です。

しかし、

  • いったん養育費について合意した後の事情変更が、本当に法的に養育費減額の根拠となるものなのか
  • その事情変更を証明するための資料は何か
  • 事情変更後の養育費の適正額としてはいくらと主張すればよいのか

など、ご本人さんでは判断が難しい場合もあると思われる様々な問題があります。

また、交渉や調停をするにしても、あなたが直接、相手方や裁判所とやりとりをするのは、精神的・時間的に極めて負担となる場合もあるでしょう。

このような場合、弁護士の専門知識や交渉ノウハウ、調停対応ノウハウを利用することで、納得できる養育費月額でスムーズに合意できる可能性が高まります。

当事務所には、離婚や養育費の手続きに詳しい弁護士が多数所属しておりますので、ご不安なことがあれば、何なりとお気軽にご相談いただければと思います。

ご相談の流れについてはこちらをご覧ください。

 

 

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