会社取締役の夫が財産分与と養育費、年金分割に応じ離婚した事例
職業:専業主婦
世帯年収:1200万円
婚姻期間:15年
解決方法:裁判離婚
子どもあり (14歳、10歳)
離婚を切り出された
相手:40代会社取締役
サポート 無 |
サポート 有 |
増額 利益 |
|
---|---|---|---|
財産 分与 |
500 万円 |
700 万円 |
200 万円 |
養育費 | 14 万円 |
月額 16万円 |
月額 2万円 |
婚姻 費用 |
0円 | 月額 22万円 と 200 万円 |
月額 22万円 と 200 万円 |
年金 分割 |
– | 50% | 50% |
Eさんは、15年前に夫と結婚し、2人の子どもを出産しました。子どもは14歳、10歳です。
夫は、下の子が生まれてから、東京へ単身赴任をしました。
単身赴任後、数年間は、時折北九州に戻ってきて自宅に泊まっていました。
しかし、しだいに自宅に寄り付かなくなり、ここ数年間はまったく顔を合わせていませんでした。
夫は、突然、Eさんに生活費を渡さなくなりました。また、離婚を申し入れてきました。
Eさんは、夫に対して愛情は持っていませんでしたが、子どもたちの教育費や今後の生活費不安になり、当事務所に相談に来ました。
弁護士は、夫に対して、生活費を求める文書を出しました。
また、Eさんは離婚に消極的であること、仮に、離婚に応じるとしても、十分な生活補償が必要であることを伝えました。
しかし、夫は、それでも生活費を支払いませんでした。
そこで、弁護士は、小倉の家庭裁判所へ婚姻費用請求の調停を申し立てました。
夫はこれに対して、弁護士を立てて反論するとともに、離婚調停を申し立ててきました。
婚姻費用の調停は、夫が支払いを頑なに拒んだため不成立となり、審判手続へ移行しました。
審判では、夫に対して、離婚が成立するまで月額22万円の婚姻費用のほか、審判が出るまで支払っていなかった未払い分合計200万円の支払いが命ぜられました。
婚姻費用については、裁判所の審判により、夫は未払い分のほかに、月額22万円を支払うようになりました。
離婚訴訟において、弁護士は、財産分与、養育費の支払い等を求めました。
夫側の弁護士は、養育費について、当初、14万円しか支払わないと主張していました。
これに対して弁護士は、月額14万円では、子どもの教育資金等を考えると不十分であると反論しました。
粘り強い交渉の末、夫は、当方の提示である月額16万円の支払いに応じました。
夫は、別居時点における預貯金はほとんどありませんでしたが、自社株を所有していました。
そこで、弁護士は、自社株を評価し、700万円の財産分与を求めました。
夫側の弁護士は、自社株の評価を争い、500万円しか分与しないと反論してきましたが、裁判官から700万円が相当であるとの心証を開示され、結局、700万円の支払いに応じました。
離婚訴訟において、弁護士は、財産分与、養育費の支払いのほか、50パーセントの年金分割を求めました。
夫側の弁護士は、別居期間が長期間に及んでいることを理由に年金分割には応じないなどと反論しました。
これに対して弁護士は、そもそも別居期間と年金分割制度は無関係であること、仮に関係があったとしても、本件は別居ではなく単身赴任であることを主張しました。
裁判官はこちら側の主張の正当性を認め、その結果、夫は、50パーセントの年金分割に応じ、財産分与と養育費の支払いと年金分割について夫が応じることで和解が成立しました。
夫が離婚を決意したとたん、生活費を支払わなくなることがあります。
しかし、この生活費は婚姻費用といって、夫側(収入が多い配偶者)が支払う法的義務があります。
仮に、支払わない場合、審判という裁判所からの命令が言い渡されます。
妻が離婚に応じたとしても、養育費、財産分与等の諸条件を協議するため、離婚の成立には一定程度時間がかかります。
この婚姻費用は、離婚が成立するまで受け取る権利があるので、妻側にとってとても大切なものです。
婚姻費用について、詳しくはこちらをごらんください。
養育費は、夫婦双方の年収に応じて決まるのが原則です。
Eさん夫婦の年収に照らすと、本件では、養育費の適正額は、月額14万円程度でした。
しかし、本来の相場を超える条件でも、交渉しだいでは相手方が応じてくれることがあります。
本件では、交渉が成功し、相場よりも月額2万円多い養育費で合意できました。
養育費について、詳しくはこちらをごらんください。
財産分与とは、夫婦が結婚後形成した財産を分ける制度です。
財産分与においては、いつの時点に存在する財産を対象とするかが問題となりますが、別居時が基準となることが多い傾向です。
本件では、別居時において、夫に預貯金がなかったので、夫の保有する自社株を対象としました。
非上場会社については、その時価の算定が難しく、税務に詳しい弁護士でなければ適切な評価ができません。
当事務所には税理士資格を有する弁護士が所属しており、このような評価を得意としております。
財産分与について、詳しくはこちらをごらんください。
年金は、妻が高齢になったときに、受け取ることができるものであり、生きていく上で欠かせないものです。
しかし、男性側から分割を拒否される場合があります。
特に、別居期間が長い事案ではこれが多い傾向です。
男性側としては、一緒に生活していなかった妻に対して年金を分けることに抵抗があると推測されます。
しかし、年金分割は公的な請求権であり、夫婦の同居・別居は無関係です。
年金分割について、詳しくはこちらをごらんください。
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