離婚したいけど子供が・・・どうすればいい?|ケース別に弁護士が解説

執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2020年実績)

離婚したいけど子供が心配という方へ

このページをご覧になられている方は、現在、離婚すべきかどうかを迷っている方だと思います。

特に、子供がいる方からは「子供が大きくなるまでは離婚しないほうがいいのではないでしょうか?」というご相談が多くあります。

しかし、必ずしもそうとは言い切れません。

離婚を考えるようになったということは、何かしら夫婦生活がうまくいっておらず、辛い思いをされていると思います。

そのような状況では、離婚せずに我慢して生活することの方がご自身だけでなく、子供にとってもよくない場合があります。

そこで、ここでは、離婚を迷っている場合のポイントについて、離婚問題に精通した弁護士が詳しく解説します。

 

 

離婚においては子供の親権を検討する

子供がいるとき、最も注意しなければならないのは親権の問題です。

日本では、共同親権が認められていないため、父母が離婚するときにいずれか一方を親権者として指定しなければなりません。

そのため、親権の取得を希望する方は、まず第一に、「仮に離婚した場合、自分に親権が認められるか」ということを検討しておく必要があります。

なお、親権に関しては、一般論としては、女性が取得する可能性が高いと言われています。

例えば、家庭裁判所の統計データによれば、子の親権者を指定する際に、女性が親権者となった割合は全体の約93%となっています(令和元年の「離婚の調停成立又は調停に代わる審判事件」のデータ)。

参考:司法統計|最高裁判所

しかし、上記は親権に争いがない事案の件数が含まれているため、あくまで参考にしか過ぎません。

離婚事案の多くは、男性が親権を争いません。

男性が親権を本格的に争った場合は、女性でも親権の取得が認めらない事例はたくさんあるため注意が必要です。

そのため、親権を希望する方は、ご自身の状況において、親権を取得できる見込みについて適切に判断しなければなりません。

親権の取得を強く希望されている方は、親権についての詳しい解説ページをご覧ください。

 

 

子供がいる場合の離婚の影響

子供がいる場合、離婚が子供に与える影響を考えなければなりません。

一般論としては、「離別家庭(離婚した家庭)の子供」と「非離別過程(離婚しなかった家庭)の子供」との間では、次のような差が生じると言われています。

  • 離別家庭の子供は非離別家庭の子供と比べて、平均的にはより多くの問題を抱えている
  • 親の離婚は次の点で子供に影響を及ぼす可能性がある
    心理的な要素:情緒的適応、不安、抑うつ
    教育程度
    職業上の地位
    生活水準
  • 離別家庭の子供は非離別家庭の子供と比べて、将来離婚及びシングルペアレントになる可能性が高い

参考:離婚の子どもに与える影響|現代社会研究

しかし、子供に及ぼす影響は離婚だけではありません。

すなわち、家庭に関して言えば、離婚の他にも、虐待、ネグレクト(育児放棄や育児怠慢)、夫婦間の不調和(夫婦喧嘩)、親のメンタル不調、薬物依存など、様々な問題が作用している可能性があります。

そのような場合は、離婚した方が子供にとってプラスの影響を与える可能性もあります。

また、そのような劣悪な環境になかったとしても、親の離婚が子供の将来にプラスに働いた例もたくさんあります。
(例えば、執筆者の経験でも、両親の離婚の影響から弁護士を目指して猛勉強し、現在、離婚専門の弁護士として活躍している方もいます。)

そのため、「離婚の子供への影響」という一般論はあまり意味がないと考えます。

むしろ、具体的な状況下において、子供への影響を検討していくことが重要です。

そこで、以下では状況別の具体的な影響について、ご紹介いたします。

 

子供が小さいケース

子供が乳幼児の場合、父親のことを明確に認識していません。

そのため、離婚時やその直後の子供のメンタル面への影響は小さいと考えられます。

もっとも、離婚後、年月が経過して子供が物心ついてくると、父親がいないことに疑問を持つようになるでしょう。

そのようなときには、なぜ父親がいないのか、きちんと説明してあげる必要が出てきます。

 

子供が1人のケース

子供が1人の場合、兄弟がいる状況と比較して、「家庭で独りになる時間が増加すること」が懸念されます。

特に、親権者がフルタイムで仕事をしている場合、子供と触れ合う時間が少ないという問題があります。

子供の年齢が小学校高学年くらいになると、それほど心配はいらないかもしれませんが、子供が低学年の場合は独りで寂しい思いをしていないか、十分なケアが必要となるでしょう。

自宅に親権者の両親(子供の祖父母)等がいる場合、寂しさはそれほど感じないかもしれません。

そのため、子供が小さい場合はご両親との同居を選択される方もいらっしゃいます。

また、離婚による子供への影響を極力減少させるために、面会交流の回数を増やすことを検討されると良いでしょう。

面会交流を充実させることができれば、子供の不安を少なくできると考えられます。

合わせて読みたい
面会交流の方法とは?

 

子供が2人のケース

子供が2人の場合、1人の状況と比べて、家庭でコミュニケーションを取れる家族がいるため、その点では心配は少ないでしょう。

ただ、兄弟の年齢や性別等によって、子供同士の関係が異なるため、個別具体的な状況に応じて心のケアを考える必要があります。

また、子供が1人の場合よりも、子供のための生活費(食費、被服費、住居費等)が増加するため、金銭的には苦しくなる可能性があります。

養育費の金額は、子供の数が増えればその分増額されますが、生活費の増額分に不足することもありますので、事前に養育費の見込額を調べておく必要があります。

合わせて読みたい
養育費の適正額とは?

 

子供が3人のケース

子供が3人の場合、子供同士の活発なコミュニケーションが期待できます。

そのため、基本的には家庭で独り寂しい思いをするという心配は必要ありません。

しかし、子供の数が多い分、生活費(食費、被服費、住居費等)が増加するため、金銭的には苦しくなる可能性があります。

養育費の金額は、子供の数が増えればその分増額されますが、生活費の増額分に不足することもあります。

例えば、子供の数が3人の場合、1人の場合の3倍というわけではありません。

そのため、事前に養育費の見込額を調べておく必要があります。

合わせて読みたい
養育費の適正額とは?

 

虐待があるケース

子供が親から虐待を受けているようなケースでは、むしろ、離婚した方が子供にとってはプラスとなる事案がほとんどだと考えられます。

虐待の程度にもよりますが、重大な場合(性的虐待や怪我をともなう暴力など)は、そのような親との同居を継続することで、子供の健やかな成長を阻害する可能性が大きいと考えられるからです。

また、子供に対する虐待がなくても、配偶者への虐待があるケースも考えられます。

子供にとっては自分の親が他方の親から虐待を受けている様子を見るのはとてもつらいはずです。

このような事案は、子供に対する精神的虐待と言えます。

そのため、子供に対する虐待と同様に離婚した方がプラスになる可能性があります。

 

 

子供がいない場合

子供がいない場合は、現在の子供に対する離婚の影響を心配する必要はありません。

しかし、現在、「子供が欲しい」と考えている方にとっては、離婚による「子供をつくる機会の喪失」を考えなければなりません。

すなわち、離婚をしてしまい、今後異性との出会いがなければ、子供がいない人生となってしまうかもしれません。

他方で、配偶者との生活を苦痛に感じている方にとっては、一刻も早く、相手と離婚したいと考えていらっしゃるでしょう。

このような場合、「離婚するか」、それとも「我慢して結婚生活を続けるか」は、難しい選択だと思います。

しかし、離婚後、新たな出会いがあり、再婚できるかもしれません。

また、現在は医療技術が進歩しており、人工授精によって結婚しなくても子供をつくり、育てている方もいます。

これらの可能性も踏まえて、今後のことを検討するようにされてください。

 

 

迷っている場合は別居という選択肢もある

離婚について迷いがある場合、「当面の間別居する」という方法を取られる方もいます。

相手と離れてみて、実際に子供にどのような影響が出るかを試すことができるという点ではメリットがあるでしょう。

しかし、別居とは言え、相手にとっての影響も大きいため、相手の感情を害してしまい、離婚に進んでしまう可能性が懸念されます。

また、別居期間中の生活費を確保しなければなりません。

別居期間中の生活費については、婚姻費用としって、収入が少ない方(通常妻側)が収入が多い方(通常夫側)に請求できます。

婚姻費用の金額や請求方法について、くわしくは以下ページをご覧ください。

合わせて読みたい
婚姻費用とは

 

 

子供の戸籍について

離婚の際、子供の名字や戸籍について、気になる方が多いかと思います。

子供の戸籍については、以下ページに詳しく解説していますので、ぜひ御覧ください。

 

 

離婚後にもらえる各種手当について

離婚してシングルマザー(母子家庭)になった場合、経済的に苦しい状況に陥ってしまうことが考えられます。

経済的に苦しい方を守る、救うために国や自治体では、母子家庭や父子家庭が受けられる公的援助を設けています。

公的援助には、一定の金銭を支給する制度や税制の優遇措置があり、家計を助けてくれるため、特にシングルマザーにとっては重要となります。

これらを上手に活用し、苦しい生活から脱却しましょう。

 

 

まとめ以上、離婚と子供への影響等について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。

親権の取得を希望されている方は、離婚する際、親権取得の見込みを適切に判断しなければなりません。

また、離婚の子供に与える影響については、研究などの調査結果もありますが、子供がおかれている状況は様々です。

そのため、抽象的に考えるのではなく、個別具体的な状況に応じて影響の程度を検討する必要があります。

これらの判断は、専門知識と豊富な経験が重要となります。

そのため、子供への影響を心配されている方については、離婚題を専門とする弁護士への早い段階でのご相談をお勧めいたします。

この記事が離婚問題でお困りの方にとってお役に立てば幸いです。

 

 


離婚が成立するか
執筆者 弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2020年実績)